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【読書めも】読みたいことを、書けばいい。

とにかく笑った。
漫画以外で終始笑いながらページをめくった本って、ほとんど無いんじゃないだろうか。

しかも、この本はエッセイとか自伝とかでもなく、文章に関する本だ。

書いているのは、電通を辞めて、青年失業家を名乗り文筆活動や、講師業をされている田中泰延さんだ。

「書くことは、考えること」

と、いろんなところで言われている。「文章の書き方」についての考え方を紹介している本は、これまでいくつも読んできた。

例えば「起承転結」とか、「文のはじめで読み手の心をつかもう!」とか。

でも、この本には文章を書く前の考え方や姿勢みたいなものが書いてある。だれかがもう書いているなら読み手でいよう。自分が読みたいものがこの世にまだ無いから書くんだ、と。

この本は、5w1Hに基づいて書かれている。

序章 なんのために書いたか
第1章 なにを書くのか
第2章 だれに書くのか
第3章 どう書くのか
第4章 なぜ書くのか
おわりに いつ書くのか。どこで書くのか。

特に印象に残ったのは、なぜ書くのかという部分だ。田中さんは文章を書いたことで、九州で酒をおごってもらい、静岡で講演の前にハンバーグを食べたり、京都で糸井重里さんに会ったりしている。

そんなとき、わたしは、「文字がここへ連れてきた」と思う。悪い言葉を発すると、悪い言葉は必ず自分を悪いところへ連れてゆく。良い言葉を発すると、良い言葉は必ず自分を良いところへ連れてゆく。わたしはそのことを知った。

九州でお酒を飲んだり、静岡でハンバーグを食べたり、京都で糸井さんに会うこともいいなあと思う。これらはきっと大きな例だろう。

私が書きたいと思う理由は、もっともっと小さなこと。自分の考えを一旦外に出してみることで、「私もそう思った!、私はこう思う!」と、他者とコミュニケーションをとれる時間が楽しいから。

天気などの差しさわりのない話ではなく、「この前書いてた、○○について思うんだけどさあ」と、自分の考えを差し出してくれたら、飛び上がるくらいうれしい。

良い言葉は、良い出会いだけなく、良い気づきを与えてくれる。だからこれからも自分の読みたいことを、書いていきたいと思う。

最後に、本に掲載されている、田中さんが就活生の時に書いたエントリシート(ES)を読んで爆笑したことを付け加えておきたい。爆笑した、もう1度書いてしまうくらいおもしろかった。貼ってある田中さんの笑顔もめちゃめちゃ良かった。

でも、ただ面白いだけではない。このESには、みんなが知りたいSNSプロフィールの書き方などに通じる、相手に興味をもってもらうための真理みたいなものが詰まっているように思う。

本を読んでいるのに、講演会に参加しているような気になる読書体験でした。おすすめの1冊。


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