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めくれたオレンジ、いつかまた、どこかで。

日付が変わって昨日2022/3/6、ウーマンラッシュアワーの単独ライブ「This is the ウーマンラッシュアワー」、ウーマンラッシュアワー村本さんの独演会「Period.」を観に有楽町よみうりホールへ行った。

村本さんの渡米前、最後のライブだ。

子供の頃にお笑いを好きになってから今まで、いろんな芸人さんを好きになってたくさんのライブに行ったけれど、私の人生を一歩進めてくれた特別な芸人さんが2組いる。

それが、ウーマンラッシュアワーとガクヅケである。

私が働きながら国家試験の受験生をしていた頃、当時毎月第4日曜日の夜に開催されていたウーマンラッシュアワーのトークライブ「SHIBUYAウーマンラッシュアワー109」を楽しみに、毎日必死で勉強していた。

あの楽しい90分が、自分へのご褒美だった。
あの90分の間だけ、心から自分を甘やかすことができた。
あの90分がなければ、試験に合格して今の仕事に就くことはできなかったし、今の自分はいなかったと思っている。


村本さんは数年前からウーマンラッシュアワーの活動と並行して各地で独演会を行い、時々長期で海外へ行ったり、数年後にはアメリカに行くと話していた。
いよいよ渡米か、となったところでコロナの流行やご家族の事情などで延期になり、今回が本当に渡米前最後のライブとなった。

正直に言う。
村本さんの独演会ももちろん面白いのだけど、私はウーマンラッシュアワーの漫才の方が好きだ。
セリフ量は少なくても、パラダイスさんの「えぇ?」とか「うーん」みたいな表情豊かな相槌が大好きだからである。
なので今回の村本さんの渡米については、「村本さんの独演会を見られなくなるのか」という気持ちよりも、「ウーマンラッシュアワーの漫才を見られなくなるのか」という気持ちが大きい。

ライブに行く前にパラダイスさんが教えてくれた勝負飯のハンバーグを食べて(詳細が気になる方は上にリンクを貼った記事をお読みください)、「しんみりした気持ちじゃなくて楽しむぞ〜!」と決めた。
いつものように、予定より家を出るのが遅くなり、バタバタと会場へ向かった。


今日はまずウーマンラッシュアワーの単独ライブ「This is the ウーマンラッシュアワー」、その後時間が空いて村本さんの独演会「Period.」という構成だった。

「This is the ウーマンラッシュアワー」は着席して開演まではわくわくしていたけれど、出囃子の「めくれたオレンジ」が流れたら一気に鳥肌が立って涙がボロボロ流れてきた。
「バイトリーダー」などのウーマンラッシュアワーがブレイクするきっかけとなった代表作から現在の社会問題を扱ったものまで、少なくとも私がウーマンラッシュアワーを好きになってからの約9年間をぎゅっと凝縮して駆け抜けていくような、約80分間ノンストップの漫才だった。
相変わらず村本さんはセンターマイクを独り占めして捲し立てるように喋っていたし、パラダイスさんのやばい部分(笑)もしっかり見られた。
「村本さんの渡米前最後」じゃなければ、本当にいつも通りのウーマンラッシュアワーの漫才だった。
結局、村本さんが「いつかまた、どこかで。」と言って舞台からはけて、はけ囃子(最近知った言葉)が流れるまでずーっと笑いながら泣きっぱなしで、こんなに楽しいのに、もうしばらく観られなくなっちゃうなんて…という喪失感がすごかった。

でも、村本さんの渡米後ウーマンラッシュアワーがどうなるのかをこれまで明言されていなかったので(私が知らなかっただけかもしれないけど)、解散はしないということがわかったのはとても嬉しかった。


次の独演会まではカフェあたりで時間を潰そうかなーと思っていたけど、どうにもこうにも涙が止まらず、この状態でお店に入るのはヤバすぎると思い、一旦帰宅することに。
帰って散々泣いたら何だかスッキリして、かなり前向きに独演会に向かうことができた。


「Period.」は、ピアノとバイオリンの生演奏で始まり、原発や在日朝鮮人、ウクライナ情勢などの社会問題や宗教など、日頃避けがちな話題にガンガン切り込んでいく、いつものスタイルだった。
私が先述のトークライブに通っていた頃の村本さんはそのような話題は扱っていなかったけれど、私の中では当時から村本さんは一貫して「誰もが思っていても、周りの目を気にして言わないこと・目を逸らしていること」を代弁してくれる、という存在だった。当時は自分が可愛がっている後輩の芸人さんや相方パラダイスさん、最近遊んだ女の子(笑)などご自身とかなり距離の近いことを題材としていたが、どんどん題材の射程圏内が広がっていったイメージである。

ふと客席を見回してみた。
この数年で随分客層が変わった。
渋谷のトークライブに通っていた時は、自分と同世代かそれよりも若いくらいの女性がお客さんの大多数を占めていたが、今は老若男女本当に様々な人がいる。
これだけ幅広い人たちを笑わせているのはすごいなー、などと思ったり、単独ライブで散々泣いたおかげか、独演会は結構冷静に楽しむことができた。

大盛況で独演会も終わり、村本さんが舞台からはけた後、まさかのまた「めくれたオレンジ」が流れた。
サプライズでパラダイスさんも登場した。

「やっぱり最後は、漫才で終わろうかと思ってね」

村本さんその言葉を聞いて、またボロボロ泣いてしまった。
この演出は、今日急遽決めたらしい。
独演会前の単独ライブで「もうしばらく観られない」と思っていた漫才を、数時間後にもう一度観られた。
パラダイスさんの魂の叫びもたくさん聞けた。

最後に村本さんはこう言っていた。

人間はな、ずっと同じことしてたら劣化するだけやねん。
だから俺はアメリカに行って、お前は一人でやって、お互い違うことをやって、数年後もっとすごい漫才をやるんや。

「SHIBUYAウーマンラッシュアワー109」の最終回でも、同じようなことを言っていたな。
そう思ったら少し笑ってしまった。


村本さん、アメリカで修行を積んでスーパースタンダップコメディアンになって、数年後に帰国してまたウーマンラッシュアワーの漫才を観られるのを楽しみにしています。
応援しています。


……なんて嘘!
本当はアメリカなんて行ってほしくない!!!!すでにめちゃくちゃ面白いんだから!!!!!
フラッとルミネに行って、ウーマンラッシュアワーの漫才が観られる日々がまだまだ続いてほしい!!!!!
THE MANZAIで年に1回テレビで漫才が観られるのを楽しみに年末を過ごしたい!!!!!

一瞬、理解のある善良なファンのふりをしてみたけど、本当は寂しくて仕方がない。
ファンなんて結局、自分勝手である。

いつかまた、どこかで。

その言葉を信じて、私はじっと待つことにする。

数年後、パワーアップしたウーマンラッシュアワーの漫才を観る時、私もパワーアップしていたい。

いつかまた、どこかで。

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