羊谷知嘉ChikaHitujiya

ノージャンル系批評ブログ Engineerism をリブーティング

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【解説】 バルダーズ・ゲート3を語ろう!冒険しよう! 【評価】

はじめに 200 時間の旅路をひとあし先に終えました。 全編英語でやり通したのと、過去の会話を読みなおしたりロアやルールをその都度調べたりしたので実質的な攻略はじっくりやって 150 時間前後でしょうか。CRPG というマイナージャンルに慣れていれば相応の、そうでなければ驚異のボリュームです。 バルダーズ・ゲート 3 とは、今年 8 月に彗星のごとくあらわれた話題作で、今年の GOTY 関連賞を総ナメをしている傑作 RPG シリーズの最新作です。 が、多くのひとが落

    • 物語とキャラクターとデジタルゲームの覚書き

      はじめに Baldur's Gate 3 の攻略記事を書き続けていると気が狂いかけたので最近考えたことを書き綴る。僕の脳は何かをまとめる作業につくづく向いていない。 ラフな内容だから有料記事の予定だったけど、だれかの思考を刺激し、下敷きになることもあるかとおもい無料公開にします。僕は、公共的に価値のある文章は無料で読める状態にあるべき派。 ゲームレビューだと、特にキャラクターについてはそいつが魅力的かどうかに終始しがちなので、個人の好き嫌いを越えた議論がもっと交わされ

      • Discord で壁打ちをはじめたらコミュニティができた話

        「ゲーム&批評を考える」 7月の twitter 危機をどうお過ごしでしょうか。 1週間前突如とはじまった閲覧制限に、Misskey、Mastdon、Bluesky、Threads、はては Truth Social と、沈みゆく泥舟からどこに逃げだすかの移住先問題でいっとき twitter が大騒ぎになりました。今は落ち着いたものの、プラットフォームとしての脆弱性や不透明性の印象は強く、多くのひとが twitter の代わりを手にしたことで衰退の一途をたどりつつあるで

        • ティアキン批評のはてブコメにレスを付けてみる

          まえおき タイトルどおり。※コメントは一部だけ もやっとしたひとや自身の考えを深めたいひとの助けになったり、議論を喚起するきっかけになればな、と。 https://b.hatena.ne.jp/entry/s/note.com/chikahitujiya/n/n6636508f9f97 最初に前置きとして説明しておきたいのが末尾のこの部分。 この部分の僕の主張は、ゲームのカジュアルさには良い面も悪い面もあり、その悪い面にふれない絶賛レビューは「自由」とその面白さの結

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        【解説】 バルダーズ・ゲート3を語ろう!冒険しよう! 【評価】

          【ティアキン】 ゲームの「自由」に潜む魔物たち 【レビュー】

          オープンワールドの自由とは? デジタルゲームの自由度はいまや大きな関心事だ。 The Legend of Zelda: Tears of the Kingdom での兵器や乗り物のクラフト術が巷を賑わせるなか、今月末に発売を控えた Final Fantasy XVI の「自由度のゲームではない」という先行プレイの感想が話題を呼んだことは記憶にあたらしい。好き嫌いは別にして、作品の自由度が僕らのプレイ体験に深く関わるのはまちがいない。 ゲームの「自由」とひとくちにいって

          【ティアキン】 ゲームの「自由」に潜む魔物たち 【レビュー】

          【感想】 今年の GOTY 候補 Spellforce: Conquest of Eo を始めよう 【解説】

          ファンタジー好きなら垂涎もの どうも、Diablo 4 β の批評記事で自分のアンチが誕生する瞬間をコメント欄で目撃した僕です。 Atomic Heart の批評をプレステ版の発売にあわせて完成させるとか、イェスパー・ユール著『ハーフリアル』の続きを読むとか、4月に書きたい文章は色々とあったのですが、あるゲームに熱中しすぎたせいで総崩れしてしまいました。すべてはオーストリアの Owned by Gravity が開発した Spellforce: Conquest of E

          【感想】 今年の GOTY 候補 Spellforce: Conquest of Eo を始めよう 【解説】

          ゲーム論研究:『ハーフリアル』を批判的に読む 1

          8年振りのガチ読書 正直僕はほとんど読書してこなかった、京都に来てからは。 学生時代はたぶん年間100冊ぐらいは読んできたけども、働きはじめ、家事をして、ゲームに熱中してからは本は数冊程度しか読めていない。集中力が続かないのもあるし、優先順位が下がったのもある。実際、思春期も青年期もゲームとは無縁に過ごしてきた僕が批評を書けるようになるには人生をプレイングに全振りする必要があった。 読書ノートを思い立ったのは、今年初めに『ポケモンSV』の批評を書き終えて自分の今いるフェ

          ゲーム論研究:『ハーフリアル』を批判的に読む 1

          【レビュー】 Diablo Ⅳ は正直買ってほしくない 【感想】

          約束された神ゲーβ批評 これはもうダメかもわからんね。 そもそも約1万円のフルプライスにバトルパスを組みあわせた価格システムはどうなんだ?おなじ仕組みでやれているのは Activision Blizzard の Call of Duty シリーズしか思い浮かばないんだが。おなじ会社なんだが。 それに CoD はいわば FPS の入門編という位置付けだけど Diablo はそうじゃない。アイソメトリックのアクション RPG というマイナージャンルで Diablo 新作を待

          【レビュー】 Diablo Ⅳ は正直買ってほしくない 【感想】

          音楽・創作民に捧げる珠玉の私的プレイリスト "My Decade -Paper-"

          自己救済のクスリ 人生初のプレイリストを編集している。 今考えているのは3種類の "Paper" "Rock" "Scissors" と名付けたリストに50曲ずつ入れる予定だけど、最終的にどうなるかはわからない。この "Paper" だけでも50曲に絞るのは苦しんだし、好きなアーティストの曲を全部聴けたわけでもない。食指は動いたがまだ掘り下げてはいないグループのストックも多分150組はくだらないはずだ。 タイトルをじゃんけんにあやかったのは3つのイメージと関係性が似てい

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          音楽・創作民に捧げる珠玉の私的プレイリスト "My Decade …

          僕が批評の才能に目覚めたときの話

          ヤドキング似の師匠 『ポケモンSV』の批評を書く前にふとケジメを付けたくなった。 僕のケジメとは、自分のルーツを明かすこと、つまり、批評を教わった師のことだ。 以前書いたように僕の批評の師はふたりいる。簡単にいうと、ひとりからは批評の倫理を、もうひとりからは芸術鑑賞と教養を学び、そして今の僕は後者を前者から反省的に捉えることで批評の方法論を言葉にしている、といえそうだ。 曖昧な物謂いなのは、僕がそう意図して歩んだからではなく、自分の欲望と実践を振り返ったら後者の師の呪

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          僕が批評の才能に目覚めたときの話

          60冊の推薦マンガから観えたジャンプ系漫画という中心と周縁

          緊急漫画ブートキャンプの敢行 どうも、ゲーム批評の書きたくなさからマンガの世界に現実逃避している僕です。 先日、Twitterのフレンド諸氏にお勧めの凄い漫画を乞うたところ、なんと、60本を越える未見の作品を推してもらえたので突発的に漫画ブートキャンプを敢行しました。 僕自身はおもに金銭的な事情からマンガに苦手意識があり、僕史上最大にバズった『僕ヤバ』分析記事でも批評的なことは巧妙に避けて書いた経緯があります……作品自体の良し悪しが直観的にはわかってもそれを他作品と

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          サイバーパンク2077を堪能するために10万円を溶かした話

          最高のPC環境でプレイする意味 どうも、職場の某コンビニで働くよりもナイトシティでの汚物消毒の時間の方が長い僕です。 2020年最高の期待作としてリリースされた『サイバーパンク2077』ですが、蓋をあけると旧世代CS機でのパフォーマンスがきわめて悪く、最近のAAA級作品では珍しいバグの頻発で(ベセスダの『Fallout 76』以来かな?)さまざまなミームやネタ画像がゲーマー界隈を賑わせました。 果ては、開発元の CD Projekt をアメリカの投資家らが悪質なマー

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          他人の解釈に騙されないための『僕ヤバ』批評のバズ分析

          『僕ヤバ』批評記事はなぜバズったか? 僕の批評記事が世にバズることなど、ネット炎上か派手な自殺をキメる以外に到底ないと思っていた――というと、少し大袈裟だろうか? 約1万PV。 この数字は、例の『僕ヤバ』批評記事が2日間で実際に叩きだしたページビュー数であり、通常運行の僕のブログ全体では2、3ヶ月間掛けて獲得する推定PV数だ。 正直、僕のブログは広告を貼って収益を上げるものではなく、その予定もないため、バズり自体に嬉しさはなかった(というのも、重要なのはそのバズりをい

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          ゲーム批評に僕が身を投じた苦い理由

          門外漢がなぜゲーム批評に身投げしたか? ゲーム批評に今でこそ熱を上げ、書く用・勉強用・趣味用の作品の優先順位に日々苦しみながら日本国内ではまだ陽の目をみていないリリース情報に眼を光らせている僕は、何も根っからのゲーム好きだったわけではない。 デジタルゲームに興味をもちはじめたのは多分『マインクラフト』が世間でも流行りはじめた2014年頃で、本格的に入れ込んだのは僕の個人史的には多くのものを喪い、ゲーム業界的には『ホライゾン・ゼロ・ドーン』がリリースされ『オーバーウォッチ』

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          ゲーム批評に僕が身を投じた苦い理由

          僕が人間関係を投資先とみなさないと精神的にキツい理由

          先日、学生時代の元友人と揉めた際に「人間関係は投資先」という趣旨のツイートをしたところ、眉を顰めるというか、まあ、否定的な反応をいくつか頂いた。 発言の弁解をするわけではないけども、他人の反応を掻きたてるアイデアとは良い意味でも悪い意味でも価値があるのでこの考え方の理屈となぜそれを書く必要があったのかを記事にしたい。 もちろん、有料記事には価値が無いことを書くというコンセプトを以前から固めているので、価値がある部分、つまり、この考えかたの正しさについては無料で読める範囲内

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          掌編小説 「時空の錨は噛む」

          ※本記事は、1週間の無料公開期間を過ぎたため有料記事に移行しました。それにあわせて、本作品の自作解説記事を羊谷知嘉の個人ブログにて公開しています。 ※本作品は、ひとによっては不快に感じる描写・表現がとても多く、万人向けの作品ではありませんので、閲覧は自己責任でお願いします 【あらすじ】大気中の二酸化炭素濃度の上昇により自然環境が激変し、富める者はドームで暮らし、そうでないものは外の旧市街での生活を余儀なくされた世界。主人公のツカサはレジスタンスのメンバーとして時間遡行装置

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          掌編小説 「時空の錨は噛む」