こころの処方箋

心理職として働いています。 子どもから高齢者まで心理的支援を提供しています。 note…

こころの処方箋

心理職として働いています。 子どもから高齢者まで心理的支援を提供しています。 noteでは、心理学に関する知識や情報をできるだけ平易な表現でお伝えしていきたいと思っています。 また、サッカー観戦が好きです

マガジン

  • 強迫性障害(OCD)の治療

    強迫性障害は軽症から重症まで様々な方がいらっしゃいます。 また、最初は一つの症状だったのに、次第に広がっていきやすいのもこの精神疾患の厄介なところです。 マガジンにまとめることで少しでも皆さんの力になればと思っています。 内容は以下の通り、全6回です。 【内容】 強迫性障害とは?(概要)#1 強迫性障害の治療#2 具体的な治療のステップ#3 治療での大切なポイント#4 治療を検討している方へ(当事者向け)#5 家族への巻き込みとその対策(ご家族向け) #6

最近の記事

セルフコンパッション

自分なんてダメだ。 また失敗ばかりだ。 何をやってもうまくいかない。 そんな自己批判に苛まれる私たちにとって、 心の平穏に役立つ概念がコンパッションです。 今日はそのコンパッションの紹介をしようと思います。 一般的なコンパッションの定義として、コンパッションは「思いやり」「慈悲」などと訳されます。 医学人類学博士のジョアン・ハリファックス氏は、 ”人が生まれつき持つ「自分や相手を深く理解し役立ちたい」という純粋な思い、また自分自身や相手と寄り添い「共にいる力」”と説明

    • 人間関係で悩む人へ(その3)

      人間関係の悩みは誰でもかかえる永遠の問題です。数回にわたり、その悩みについて一緒に考えていきたいと思います。 人間関係づくりの技術を考える際に、「4つの関係づくりの力」があることをお伝えしました。 1「繋がる力」 2「断る力」 3「許す力」 4「尊重する力」 今回は、2「断る力」について説明します。 断る力は、言い換えると、人と適切な距離を保つために「No」と言う力を表しています。 「No」と言う力を選択肢として持つことができない場合、 うつ状態・パニック・恨

      • 人間関係で悩む人へ(その2)

        人間関係の悩みは誰でもかかえる永遠の問題です。数回にわたり、その悩みについて一緒に考えていきたいと思います。 前回の記事では、 人間関係づくりは、①多くの場合は”家庭”で学習することをお伝えしました。そして、土台がとても大切であることも書かせていただきました。 それでは、人間関係づくりの技術を考える際に、「4つの関係づくりの力」を知る必要があります。 1「繋がる力」 2「断る力」 3「許す力」 4「尊重する力」 その中でも今回は、1「繋がる力」について説明しま

        • 人間関係で悩む人へ(その1)

          大切な家族、親友、職場の先輩後輩、同僚、上司などと良好な関係性を築いているのは望ましいかもしれませんが、私たちは生きていると誰でも「人間関係」で悩まされるものです。 うまくいかない… 一人で過ごしたほうが楽だな… インターネットがあるから… と思う人もいるかもしれませんね。しかし、人間にとって「人間関係」はなくてはならないです。 ひとりぼっち=社会的な孤立というのは、こころへの影響だけでなく寿命を縮めるという研究さえあります(レイモンドとカプラン:カリフォルニア大学

        セルフコンパッション

        マガジン

        • 強迫性障害(OCD)の治療
          6本
          ¥150

        記事

          家族への巻き込みとその対策(ご家族向け) #6

          この記事は最後の記事となります。強迫性障害で悩まれているのは、ご本人だけでなくご家族も困っていることが多いです。 ご本人は「誰もわかってくれない」 ご家族は「いいかげんにしてくれよ、何度目だよ!何回やるの!!もう!」 このような経験は、多くの強迫性障害(以下OCD)のご家族にみられます。OCDは周囲を巻き込む疾病なのです。

          家族への巻き込みとその対策(ご家族向け) #6

          治療を検討している方へ(当事者向け)#5

          おそらく、この記事にたどり着いた方は、強迫性障害で悩まれている方や、身近な方が強迫性障害で対応に悩まれている方がほとんどだと思います。

          治療を検討している方へ(当事者向け)#5

          治療での大切なポイント#4

          前回は具体的な治療のステップについて書かせていただきました。 前の記事から連続してみると、 ①OCDについて理解する ②曝露反応妨害法について理解する ③モチベーションを高める ④不安階層表を作る ⑤段階的に曝露に取り組んでみる(記録をしっかりとる) といったステップで進めます。 この記事では、強迫性障害の治療である曝露反応妨害法(ERP)を行う上で大切なポイントについてご紹介します。

          治療での大切なポイント#4

          具体的な治療のステップ#3

          前々回(#1)は、強迫性障害の概要について 前回(#2)は、強迫性障害の治療には薬物療法と心理療法の併用が効果的であること、そして心理療法には曝露反応妨害法(以下ERP)が使用されていることをご紹介しました。記事の後半には、不安階層表というランキングについても軽く触れました。 この記事では、強迫性障害(以下OCD)の治療の具体的なステップについてお伝えします。

          具体的な治療のステップ#3

          強迫性障害の治療(曝露反応妨害法)#2

          この記事では、強迫性障害/強迫症(以下OCD)の治療について説明します。 前回は、OCDの概要について説明しました。

          強迫性障害の治療(曝露反応妨害法)#2

          強迫性障害とは?(概要)#1

          この記事では、 ①強迫性障害の症状と特徴といった概要についてご説明します。 強迫性障害/強迫症(以下OCD)は強迫観念と強迫行為が組み合わさり、多くの人々を苦しめる精神疾患です。 強迫観念とは、頭の中で生じるイメージや考えで非常に不快な感情を引き起こします。またそれらは、消そうと努力すればするほど、強くなります。

          強迫性障害とは?(概要)#1

          強迫性障害の治療

          強迫性障害(以下OCD)は、強迫観念と強迫行為がセットになり、日常生活に支障をきたす精神疾患です。 今回のテーマは、OCDの治療として、選択される治療法をお伝えします。 主治医からの主診断が、OCDである場合、薬物療法と曝露反応妨害法(ERP)を治療の選択肢として実施することが多いです。 主診断が何か?というのはとても重要です。なぜなら、精神疾患は重複するケースが少なくないからです。例えば、発達障害や統合失調症、うつ病などと、OCDが重複することは少なくありません。 では、

          強迫性障害の治療

          強迫性障害

          強迫性障害(以下OCD)は、コロナ以前もみられていた精神疾患ですが、コロナ禍でさらに患者数が増えている印象を受けます(臨床的に感じる主観ですが)。 “手を洗わなければ菌に汚染されてしまうかもしれない”といった汚染にかかわる強迫観念。 鍵をかけ忘れたら火事になってしまうかもといった確認強迫。 その他にも加害強迫や、縁起強迫のように様々な種類があります。 OCDを診る上で大切なポイントは、強迫観念をはじめとした侵入思考に対して親和性の有無です。 言い換えると、本当は考えたくな

          #2 引き金と欲求

          このマガジンでは、パチンコをやめるための方法を一緒に考えていく内容となっています。週に一度の更新を考えています。 そして、日々の変化を目で見えるようにしていくことが望ましいのでカレンダー付の手帳と色付きペン(赤、青、黄)を用意していただければ幸いです。また、クエスチョンを出していきますので、メモ付きだと尚良いかもしれません。 毎回の構成は、 1.チェックイン 2.内容 3.クエスチョン 4.まとめ となっています。 〇チェックイン 前回と同様に、まず初めに1

          #2 引き金と欲求

          #1 どうしてパチンコをやめるの?

          このマガジンでは、パチンコをやめるための方法を一緒に考えていく内容となっています。週に一度の更新を考えています。 そして、日々の変化を目で見えるようにしていくことが望ましいのでカレンダー付の手帳と色付きペン(赤、青、黄)を用意していただければ幸いです。また、クエスチョンを出していきますので、メモ付きだと尚良いかもしれません。 毎回の構成は、 1.チェックイン 2.内容 3.クエスチョン 4.まとめ となっています。 〇チェックイン まず初めに、ここ1週間を振

          #1 どうしてパチンコをやめるの?

          恋愛関係

          こんばんは。 今日は恋愛関係における男性と女性の感情について書いていこうと思います。 突然ですが、あなたは恋人いますか? 恋人との関係性について悩んだことはありますか? おそらく恋人がいる人やこれまで恋人のいたことのある人であれば一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。 恋愛関係をはじめ、人と人との関係は感情の交流になります。 相手と喜びを共有するときもありますし、 自分だけでは抱え込めない悲しみや怒りをぶつけることもあるかもしれません。 特に恋愛関係では、普段の

          株への投資における感情コントロール

          大統領選の結果はまだ出ていませんが、 今年の株式市場は、上昇と下落を繰り返してきました。 特に新型コロナウイルスの影響(ロックダウンによる経済活動の停止など)によって 世界中の人々の不安が喚起され、その不安が株式市場に投影されるかのように3月は大きな下落がありました。 では、今回は株への投資における感情コントロールについて書かせていただきます。 ポイントは感情駆動行動(感情による衝動的な行動)を抑えることです。 私の前回の記事で感情駆動行動について書かせていただきましたが

          株への投資における感情コントロール