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エヴァンゲリオンを観ての感想。


今更感がありますが、エヴァンゲリオンを全て見終わりました。

私は(誰もがそうかもしれませんが)、この作品をアニメというくくりで途中からは見なくなり、それぞれの登場人物の過去や背景、それを通り越して庵野監督のパーソナリティにまで関心を持ちました。文学作品を観て、作者の人物像を想像することに近いのかもしれません。映像がすばらしいとか色々な感想があるかもしれませんが、私は心理職をしているので心理学的な側面からどうしても作品をとらえてしまいます。この作品のすべてを捉えられていないけれど、直感的に湧いてきた感情なんかと結びつけながら、感想を述べたいと思います。

まず、全26話のアニメ版を観て、最初から最後まで一貫して私の心の中で生まれた気持ちは、「鬱々」「不安」「もやもや」「湿っぽい」「醜い」といったネガティブな気持ちばかりでした。自分の弱さに向き合えず弱音を吐き、物事から回避する主人公をはじめ、様々な場面を観ながらこういったネガティブな気持ちは生起され続けました。

特に碇シンジが回避的な行動をとるシーン、自分の殻にこもり外界との接触をなくそうとするシーン、自問自答するシーンは自分にとって極めて重要なシーンでした。このシーンを見ると、プロジェクション(主人公への投影)や同一視はしないけれど、気持ちは分かるし、視聴者側の自尊感情が低い場合はなおさらこの感覚が理解できるし、直面化された感じになり、苦しむのだろうなと思いながら観ていました。

また、同時にネガティブな気持ちを抱え込めない自我脆弱な人はこの作品はみれないだろうなとも感じました。アニメーションという非現実ではあるものの、この作品を観ていると非現実と現実がフュージョンする感覚も味わいます。なので、自分の中で生起するネガティブな感情と対峙しないといけない場面が必ず生じるはずです。自我脆弱なタイプはそれこそ碇シンジのようにこの作品を最後まで観ないという選択肢を取り回避行動するだろうなとも想像しました(それは自分を保つための大切な自我防衛なので問題ありませんが、、、)。

私は自分の中で生じる鬱々さやネガティブな感情を抱えながら見続けていました。回が重なるにつれてこのネガティブな気持ちをポジティブへと持っていってくれるに違いない。そう信じながら観ていました。しかし、それも裏切られ、後半にいくにつれてより人間のこころの弱さと直面化されている気持になりましたね。

後半では、反すう、トラウマ記憶のフラッシュバック、強迫観念、自我境界の崩壊?など様々な精神症状を味わわせてくださって、臨床心理学を行っている私にとっては貴重な体験で、現実世界の患者さんを理解する大切なシーンともなりました。頭が少しおかしくなりそうでしたが。テレビを消したくなる瞬間もありましたが、必死に我慢してみました。

まだまだ述べたいことがたくさんありますが、ちょっと疲れてしまったので今日はここまでにします。

エヴァ初心者なので、人類補完計画など分からないことばかりですが、この先、映画も少しずつ観ていきたいと思います。エヴァを通して、人間のこころの本質、共通の無意識などが分かればいいなと思っています。

また、登場人物のパーソナリティなども観ていきたいので近々考察します。

ではまた。



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