お店と場所の価値

僕は、お店というのは”街の表情”を決める、重要な要素だと思っている。

最近では、amazonでなんでも買えてしまうし、アプリで食事も簡単に注文できてしまう。
非常に便利で快適でスマートな世の中。

運営する側からしても、ECサイトやゴーストレストランの方が家賃も人件費も小さくて済む。とても低リスクで合理的。

しかし、スマホ一つあれば欲しいものがなんでも自宅や職場に届く便利な世界を享受しつつも、やはり自分の生活する街に魅力的な”お店”がないと、街がつまらなく感じてしまう。

お店があると街が賑やかになり、近所にお気に入りのお店があるだけで、その街に住んでいることが嬉しくなる。
カフェや、本屋さんや、八百屋さんなど、ヒューマンスケールのお店がたくさんある街は、なんだか豊かな表情をしているように思える。

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以前パリに住んでいて、パリの店舗ビジネスは面白いなと感じたことがあった。

ご存知の方も多いかもしれないが、パリのお店には”営業権”なるものが存在する。

パリでお店を始めたい場合、物件契約の際、家主との賃貸契約の他に、前店子から”営業権”を買い取らなければならない。それまでその場所でお店を営んでいた方から、「ここでお店をしていいですよ」という権利を買い取るシステムだ。

日本にも”居抜き”というシステムはあるが、居抜きと営業権の違うところは、営業権にはそれまでの実績が加味されるところ。

要するに、お店を繁盛させると、そこの場所の”価値をあげた”とみなされ、営業権をより高く設定することができる。

日本の居抜きの場合、駅からの近さや人通り、物件の広さや設備など、基本的に物件の”スペック”のみで判断する。それまでそこで、誰がどんな商売をしていたのか、場所の歴史は消し去られることが多い。

僕はパリの”営業権”の考え方は嫌いじゃなかった。営業権が存在することで出店料が高くなり、新規出店のハードルがグンと上がっていることは確かだが、それまでその場所で頑張って”街の表情”を作ってきた人々が報われるシステムだと思った。

場所をスペックのみで判断せず、それまでのそこでの営みを尊重する。

場所や場所の歴史に対する敬意が感じられるのは、やはり古くからの街並みを守ってきたからなのか。

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僕が運営している弁当店parkは、古い長屋の一室に入居している。同じ長屋の数件隣にはコーヒー屋さんが入居しており、この長屋一帯を”祖原ヴィレッジ”と勝手に名付けている。

僕とコーヒー屋の店主さんはいつも「祖原ヴィレッジを盛り上げたいね」と話をしており、互いのお客さんを行き来させたり、長屋でのフリーマーケットを企画したりしている。

僕とコーヒー屋さんが入居するまで、この長屋には事務所しか入っておらず、人通りもまばらだったと聞く。

それが今、お店ができたことで、少しづつ少しづつ、祖原ヴィレッジに人が訪れるようになってきた。

何かのご縁があって出店した、祖原という街の一角。僕はこの街の表情を豊かにし、この場所の価値をあげたいと思っている。

そしていつか次のステップのために退去する時がくれば、次の入居者さんへときちんとバトンタッチをしていきたい。

そうやって街や場所を大切にすることが、実店舗を持つ人間の誇りであり使命であると思う。

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お店と場所の価値

寺元 力

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寺元 力

街の新しいお弁当屋さん“park”代表。九州大学卒業してから飲食の世界へきました。過去にはパリで修行したり。ここではお店の運営についてや経営のこと、あと育児のことなんかを書いていきます。1989年3月4日大阪生まれ。一児の父。

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