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エロ可愛い保母さんとヅラ父さん

息子1号が幼稚園に通っているときの話しである。
その幼稚園には、とても可愛い保母さんがいた。強い意志に愛くるしい笑顔をまとい、ちょっとエロさをまぶした、ざっくり言うとエロかわいい感じ。父兄参観ともなれば、他の教室にお父さんはまばらなのに、その保母さんの教室にはお父さんがぎっしりなんである。

息子1号が年長のとき、件の保母さんが担任になった。そして迎えた父兄参観日。予想通り、息子の教室にはお父さんがあふれていた。教室には加齢臭が充満し、少々枯れた熱視線が縦横無尽に飛び交っている。

俺はお父さんたちの群れを一人ひとり見やっていた。すると、一人のお父さんに釘付けになる。どう考えても、そのお父さんの髪はヅラなんである。しかも、まるでお笑い芸人がコントで使うような安普請。今にも崩落しそうな危うさなんである。

すると、可愛い保母さんは父兄と子供によるスキンシップコーナーみたいな授業を始めた。子供がお父さんお母さんと体操したり、ちょっとしたダンスやミニゲームをする時間である。

メニューの中には、お父さんが座ったまま子供を肩車するものがあったりして、その危険な所業に俺はヅラ父さんの髪が息子によって無残にも剥ぎ取られるのではとヒヤヒヤものであった。

幸いにして俺の杞憂に終わった授業の最後。保母さんによる鞭のようにしなやかで痛い宣告が響き渡る。「では、最後に子供たちが大好きなお父さんお母さんの似顔絵を描いてくれましたので皆様にプレゼントしたいと思います」

それは、紙のお皿に子供たちによるお父さんかお母さんの似顔絵が描いてあり、ひもが取り付けてあるプレゼント。子供たち自らお父さんお母さんの首にかけ一緒に教室を退場していく、感動的なフィナーレである。

俺は、ヅラ父さんの子供が描いた似顔絵が気になって思わず一瞥してしまった。そこには、まさに波平ハゲの素描。「んー、子供は正直」

ヅラ父さんは、子供からお皿のプレゼントを首かけてもらうと、くるりと皿を裏返し、淡々と子供の手をとり退場していった。そのとき、俺は見てしまったのだ。可愛い保母さんがにゅるりと口角を上げ、野卑な笑みを窓から放出するさまを。なんだか灰色のため息が俺の口からこぼれ落ちた。

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