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ライティング塾で提供したいこと〈戦略②〉

前回に続き、戦略のお話し。異分野の掛け合わせで強みを先鋭化させる。それをいくつかもつことが選ばれる職業ライターとしての土台をつくるという趣旨でした。最後に、もう一つ重要な観点として、強みを先鋭化させても専門家にはならないこと。という話で締めくくりました。

これは、どういうことなのでしょう。強みをつくるというと、専門性を極めるというイメージがあるかと思います。医療ライター、美容ライター、フードライターなど、ニッチな専門性は自分の特徴を際立たせ、世の中に発見してもらいやすくなります。

しかし、専門性を極める上で注意しなくてはならない点があります。それは、内部化しないということです。内部化とは、特定の業界の人に取材をして同じ業界内の人を対象にした記事を、その業界紙・誌に書くというイメージです。

これを続けていくと、当初は定期的に仕事があるので安定するのですが、少しづつ業界に染まっていきます。この業界に染まる状態を内部化と呼んで、僕はとても危険視しています。

なぜかと言うと、業界紙・誌は専門家のためのメディアなので、情報を一般の人にわかりやすく翻訳する必要がないからです。一般の人にわかるよう翻訳する必要がないメディアは、専門家の先生と編集者で仕事が成り立ってしまうので、基本的に職業ライターの存在が希薄です。仕事が安定すると先述しましたが、低収入で安定する可能性が高くなります。

もっと恐ろしいのは、一般の人にわかりやすく翻訳する必要がない仕事を続けることでスキルが向上しないことです。専門的なことを、それを理解している人に向けて書くわけですから、上達しないのもいたしかたありません。しかも、内部化した環境に慣れてしまうと中々抜け出せなくなります。

職業ライターとしての価値を高め続けるのは、業界の外に立ち、業界と一般の人をつなぐ役割を果たすことです。一般の人にも伝わるよう翻訳する。それは、マーケットを広げることにつながるので、必ず必要とされます。ターゲットや媒体特性、クライアントの意向、紹介する商品・サービス・企業のブランドイメージなど、多様な側面を考慮しながら翻訳のトーンや抽象度を変えていきます。

一般の人にも伝わるよう翻訳するとは、どういうことなのでしょう。それは、かつては優しく表現することを意味していました。広告業界では、小学校5年生にもわかる表現をしろなどと言われていました。「猿でもわかる〇〇」みたいなタイトルが流行った時期もありました。

これらは、かつてクリエイターや編集・ライターが優しく表現することに注力していた証左です。確かに優しく表現することは大切です。しかし、現代はわかりやすく伝えるためのもう一つの手法が重要となっています。それは、「優しく表現」するのではなく「情報を編集」することで、今読者にとって必要な情報を切り分ける技術です。いよいよ技術論に入っていきました。詳細は次回!


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