株式好きなバフェットが、なぜ290億ドルもの短期国債を購入したのか?
投資家のウォーレン・バフェットは、妻への遺言の中で、自分の死後、妻の資金の90%を手数料の安いインデックス・ファンドに、残りの10%を短期国債に投資するように指示しています。
国債は株式に比べてリターンが低く、投資対象としてあまり魅力がないように感じてしまいますが、中にはそれなりのリターンを生み出す国債もあり、少し前は米国の短期国債が話題になっていました。
昨年、ウォーレン・バフェットが290億ドルの米国短期国債を購入したことがニュースにもあり、2023年の時点で、バフェットは現金と短期の米国債を約20兆円保有しています。
バフェットが購入したT-billsとは、米国政府によって裏付けされた短期債券のことです。とにかく安全な資産運用を探しているのであれば、政府が保証している債券ほど、安心なものはないとも言えます。
現在、高いインフレ化の中で、株価が大きく乱高下し、心理的に安心できない投資家達が短期債券のような安全資産に目を向け始めています。
国債のメリットとしては、政府によって裏付けされているため、株式などの他の取引などと比べて、損失を出す可能性がはるかに低くなるということ。
また、米国の債券市場は、世界最大の債券市場であり、非常に高い流動性を持っているため、投資家は必要に応じて、素早く資産を売却することができ、資産の移動も安易に行うことができます。
合わせて、米国は世界最大の経済大国であるため、信用力は高く、米国債は「安全資産」として、経済が不安定な状況でも安定的なリターンを生み出すことが期待されています。
債券の価格は、金利と反対方向に動く傾向があるため、金利が低下すると債券の価格が上昇する傾向にあり、金利が上昇すると、債券の価格は下落する傾向にあります。
そして、債券は株式に比べてリスクが低いため、一定の割合をポートフォリオに組み込むことで、株式のリスクを相殺できると言う役割もあるのです。
もちろん、米国債券に懸念点がないわけではありません。2023年8月、独自の格付け情報を提供するフィッチ・レーティングスは、過去20年にわたって、米国のガバナンスが悪化しているという懸念から米国国債の格付けをAAAからAA+へ1ランクに引き下げています。
ウォーレン・バフェットは債券よりも株式の方を好んでいるわけですが、現在、カジノ化しつつある株式市場の一時的な避難場所として、米国短期国債を選んでいるのでしょう。
よく変動が激しい株式の割合を100から自分の年齢を引いた値で保有し、残りを安定資産として知られる債券で運用するのが、投資の基本とも言われます。
株式が右肩上がりで、市場が楽観的になっている今こそ、バフェットのように、安全資産に一時的に目を向けてみるのも賢い選択なのかもしれません。
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