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#039【治療終了1週間経過】少しずつ回復はしているのだけど

2019年5月22日

味覚というのはどういうメカニズムで機能しているのだろう。よく聞く例としてかき氷のシロップの話がある。メロン、いちご、レモン、ぶどうにブルーハワイ、様々な種類のあるかき氷のシロップだけど、あれは色と匂いを変えてあるだけで味は全部同じなのだという。子供達がかき氷を食べているときに実際に目を閉じて、鼻をつまんで食べ比べてみたこともあるのだけど、正直よくわからなかった。しかしそれがもし本当だとするのであれば、味覚というのは嗅覚と視覚によって大きく影響を受けていることになる。言うなれば嗅覚と視覚に基づいた情報から脳内の味の記憶に紐付け、あたかもその味を感じているように脳が認識しているということだ。

だとすれば、例えばシュークリームの匂いがする個体が目の前にあって、そしてどこから見ても視覚的にそれがシュークリームであれば、脳はその個体をシュークリームとして認識し、記憶の中にあるシュークリームの味のイメージと結びつけることでそれをシュークリームとして味わうことができるはずではないだろうか。

味覚を失って以来、その代わりと言ってはなんだが嗅覚がものすごく敏感になった。街を歩いていても食べ物の匂いがすぐにわかる。分かるだけではない、匂いを嗅ぐだけでその食べ物のイメージが詳細まで浮かんでくるのだ。一つの感覚を失ったことで、他の機能が代替的に高まるということなのだろうか。ちょっとした超能力を手に入れた気分。しかし残念ながら、現在の生活においてその超能力は全く役に立っていない。それだけの嗅覚があるにも関わらず、食べ物の味は全く感じることができないのだ。

シュークリームの匂いがする個体が目の前にあって、そしてどこから見ても視覚的にそれがシュークリームであったとしても、口に含むと苦い。全くシュークリームの味がしない。なぜだ?嗅覚と視覚に影響を受けて脳が認識するんじゃないのか?美味しそうな匂いは十分に伝わってくる分だけ、余計に悔しくなってくる。

今日で治療終了から1週間が経過した。なんだかんだでそれなりに体調は回復しつつあって、口内炎も着実にその勢力を失いつつある。いつもだったら寝ている間に膿が溜まってきて、夜中に1〜2回は目が覚めて吐きに行くのだけれど、昨夜は一度も吐くことなく朝を迎えることができた。夜中に吐き気で目が覚めてゲーゲー吐くのはそれだけでなかなか体力を消耗していたので、これがなくなってくれるだけでも相当に嬉しい。ジリジリとした歩みではあるが、身体は着実に快方に向かっている。それは自分でも実感できているし、全体的な体力はまだおぼつかないものの、回復へのモチベーションも決して低いわけではない。

しかしこの味覚、これはいつになったら戻るのだろう。そもそも本当に戻るのだろうか。100%の回復は難しい、というのは以前から聞いているし、その覚悟はできてはいるのだけれど、だったらどこまで回復するのかといえば、それは誰にもわからない。このまま全く回復しないというのであれば残りの人生は相当ハードモードだ。せめてものの味が普通に分かる程度には回復して欲しいのだけど。

美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。