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#034【放射線治療:あと10回】光と陰のカウントダウン

世間はゴールデンウィーク。10連休で話題になっているが、治療は流石に10日間も休んではいられない。今週末から3日休んで火、水、木は放射線照射を受けにいかなくてはならない。週に5日の照射がこの期間は3日になるから、少しは副作用も軽減されるかもしれない。淡い期待だ。しかしその分治療効果まで軽減されてしまうということはないのだろうか。若干の不安がよぎる。

先日で放射線治療は25回目を終了した。全35回なのであと10回で終了となる。あと10回というのはなかなか分かり易い指標で、ようやくカウントダウン、ゴールが見えてきたようにも思う。わずかながらも勇気が湧いてくる。抗ガン剤の入院をもう一度控えてはいるのだけれど、それでも具体的な数字で辿り着く先が見えてきただけ頑張れそうな気もする。

しかし本質はそこではない、というのもまた事実だ。確かに治療はあと10回で終わる。治療が終わればすぐにというわけではないかもしれないが、この副作用の苦しみからも少しずつ解放されるだろう。それはいい。しかし治療が終わるということと、肝心の癌が治るということは全く別の話だ。

ガンは確かに小さくなっていて、今では外見上は全く目立たない程度にはなった。喉元に触れてもかつて存在したシコリはほとんど感じられない。抗ガン剤も放射線治療も確実に効果が出ているのはわかるし、自分でもそれは実感している。

しかしどんなにガンが小さくなろうとも、治療が終了した際にわずかなカケラでも残っていたら今までの努力は全て意味がなくなるのだ。確かに喉元に触れてもシコリはほとんど感じられない。しかしほとんど感じないくらいに小さくなっているだけで、よくよく触ればまだ確実に存在している。どんなに治療の効果が出てきて癌が小さくなったとしても、小さくなるだけではダメなのだ。完全に消失しなければならない。結果はゼロでなければ全く意味をなさないのだ。

確かに治療はあと10回で終わる。でも逆にいうと、チャンスはあと10回しかないということだ。果たしてあと10回の治療の中で、コイツは本当に完全に消失するのだろうか。万が一ゼロに辿り着けなかった時、治療が全て終了して癌細胞のカケラでも残ってしまった時、俺はどんな道を選べばいいのだろうか。

あらためて医学の更なる発展を強く望む。少なくとも俺以降、癌治療で辛い思いをする人が1人でも少なくなりますように。少しでも負担と苦しみの少ない治療を受けることのできる世界が訪れますように。

そして願わくば、俺の周りの大切な人達は誰一人ガンに罹ることなく健康で過ごすことができますように。こんな理不尽な苦しみを味わうのは俺が最後でいい。俺一人で充分だ。

美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。