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#028 【放射線治療11日目】口腔内で暴動が始まりつつある

2019年4月8日

今日で放射線治療は11日目。ここにきて着々とダメージを重ねつつある。

まずは口内炎。口の中には大小の白いポツポツがたくさんできていて、コイツらの侵襲がかなり辛くなってきた。口を開くと引き攣れて痛い。熱いものを飲食しても痛いし、さりとて冷たいものを口にしても滲みて痛い。もちろん硬いものを口に入れても痛い。要するに何をしても痛いのだ。

先日のいきなりステーキに引き続き、ぎょうざの満州で餃子+チャーハン定食をいただいたのだが、これは失敗だった。焦げた部分の苦味もさることながら、餃子のパリパリとチャーハンのポロポロしたライスが口の中で暴れて口内炎に突き刺さり、激痛が走る。味といい食感といい、砂ジャリを口に含んでモグモグするとこんな感じだろうか。気合と根性で完食したが敗北感で泣きそうになった。満州の餃子定食大好きだったんだけどな、放射線治療が収まるまでは諦めることにする。待てよ、水餃子ならいけるか?


口内炎の問題もさることながら、口腔内が乾いて唾液が出なくなるというのもなかなかしんどい。放射線を照射することで患部の近くにある唾液腺という唾液を分泌するための組織が破壊されて唾液が出にくくなると言われている。はじめのうちはさほど気にもならなかったが、ここ数日がそれによる不快症状がひどくなってきている。

起床してまずは口をゆすぐ。寝ている間に製造された唾液でない何かを口の中から吐き出すためだ。

起床時の口の中には唾液やヨダレとはまた違った、無色透明のネバネバした何かがいっぱいに溜まっている。唾液やヨダレにまで精製されなかった分泌物のようだ。放射線で破壊された俺の唾液腺のエラーによって生成されたのか、あるいは中咽頭にあるガン細胞から分泌されるオリのようなものか。いずれにしてもこいつが唾液の代わりに俺の口腔内で分泌され続けている。まるで物体Xだ。飲み込んでしまった際の喉の具合もなんとも言えない嫌な感触があって、起床時にまずはこの物体Xを吐き出さなければ気持ち悪くてしょうがない。

もちろん起床時だけでなく、起きている間にも物体Xの増殖は止まらない。対策として常に塩水の入った500mlのペットボトルを持ち歩き、口の中に違和感を覚えたらこまめにゆすぐようにしている。塩水で口をすすぐのが一番の口腔ケアにつながります、1日20回以上、頑張ってゆすぎましょう、以前スペシャルケア外来の看護師さんからいただいたアドバイスだ。確かに口の中がスッキリして効果てきめんだ。1日20回なんて無理だろうなんて思っていたが、いざ始めてみれば50回くらい普通にやってる自分に気づく。習慣とはなかなかすごいものだ。

この先口内炎がどこまで大きくなるのかわからないし、物体Xの増殖も苛烈なものとなるだろう。明日で放射線は12回、ようやく1/3をクリアすることとなる。ちょうど担当医の検診もあることだし、何か良い薬でもねだってみることにする。


美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。