お気に入りの本屋、最近行ってないなと思って電車に乗る前に立ち寄ってみる。リュックをしょった肩と背中がすこしばかり痛い。でもゆっくり本見たいなあとわくわくして店内に入る。

あれ、なんだか店内の雰囲気が違う。それもそのはず、棚の位置も、本の配置もがらっと変わっていたのだ。入口付近に新刊、ランキング、ビジネス、自己啓発書、雑誌、旅行本ときている。しかも棚のてっぺんにでかでかと、ビジネスだの旅行だの、小説だの新書だの書いてある。

私がよく立ち寄っていた食べ物エッセイコーナーとか海外文学コーナーは残念ながら奥の方へと追いやられていた。棚の配置も、どこに何が置いてあるのかわかりづらいんだけどそれゆえグラデーションになっていて、新しい本にも出会いやすかったのに、今は明確に区分けされている。

正直、かなりショックだった。これじゃあふつうの本屋と変わらないじゃないか。

うーん、やっぱりビジネス自己啓発書と雑誌と旅行本は需要があるのだろう。でも個人的には、これらががーっと店頭に置かれているとなんだかどっと疲れてしまう。

なんでかなあと帰りにぼんやり考えてみるに、ビジネス自己啓発書は「こうすべき」とか「こうしたらお金稼げる」みたいな感じだし、雑誌は常に新しいもの買おうって感じだし、旅行は全ページにわたっておいしいものとかわいい雑貨とデラックスなホテルに溢れているからだろう。つまり、どれもこれも情報が多すぎるというか、訴えかけてくるものが多すぎるのだ。

好きだった場所を失うってこんなにも寂しいものなのか。

また後日、静かな本屋を探しにでかけよう。

それでは、また。