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電線すら愛おしい...新海誠『言の葉の庭』

ヨーロッパと言えば、の後に続くのは数あれど、そのうち早めに出てくるのが「綺麗な街並み」じゃないでしょうか。

ドイツも都市によりますが、古い町並みを残しているところは、こっちが飽きるくらい建物の外観が統一されています。

翻って日本。特に東京をはじめとする都会は、大変ごちゃごちゃしています。

私はそのごちゃごちゃに慣れていたので、それが嫌ってほどではなかったんですが、ドイツの街に慣れると(昨年はドイツに留学してました)、東京ももうちょっとすっきりというか綺麗というか、疲れない街並みにならないかなと思うもの。

そんな私ですが、これを見ると無性に東京に帰りたくなっていました。


映画『言の葉の庭』予告編映像


『君の名は。』の新海誠監督による映画。現代の東京の街並みが描かれているのですが、ただ綺麗なんじゃなくて、すごく現実的に細部まで描かれてます。

綺麗な空や、葉っぱや、水たまりだけじゃなくて、電線やエレベーター、人でごったがえしたホーム。

身の回りに溢れている、綺麗じゃないもの。

でもそれすら美しいと、愛おしいとこれを見ると思ってしまう。

灰色のエレベーターに落ちた鈍い鍵、雨に濡れた信号のライト、汗をかいたグラス。

★★★

美しいものはいくらでも身の回りに転がっていて、それを美しいと思えるのかは、自分次第。

美しいものに出会うと、生きててよかったな、と世界を肯定して見れるんですよね、きっと。

合唱に「信じる」という曲(谷川俊太郎作詞)があって、その中に

「葉末の露がきらめく朝に 何をみつめる小鹿のひとみ すべてのものが日々新しい そんな世界を私は信じる」

という歌詞が出てきます。

日々何かが生まれ変わっていくこの世界を、信じるという肯定で捉える背景には、世界を美しいと思えるかが肝となっています。

そしてそんな風に世界を肯定できたら、信じられたら、きっと自分の手で表現したいなと人は思うんじゃないでしょうか。

それが絵であれ、写真であれ、言葉であれ、音楽であれ。

新海監督も、思春期の不安定な時期に綺麗な風景に救われていたそう。

ちなみに「言の葉の庭」では風景だけじゃなくて、人物描写も抑制が効いていて、その分仕草や態度が詳細に描かれています。

靴職人を目指す主人公の少年(高校生)が、雨の日に出会った女性の靴を作るために、彼女の素足を手に取るシーンがあるのですが、アニメーションでこんなにどきどきしたのは初めて。

よく考えると素足をさらけ出す・その素足に触れるって、そもそも素足でいることが少ないのであまりないですよね。

素足でいる場所って言ったら専ら靴下やストッキングを脱ぎ捨てた家の中が多いので、親しい間柄じゃないと目にすることないし、ましてや目の前にさらけ出すなんて。(え、だって匂いとか気になりますよね...?)

でも映画のこのシーンは、雨の中の新宿御苑で、それが尚更非日常を作り出し、そして互いが知らず知らず心を許し合っているのを見せられて、雨の中に晒された無防備な素足が妙に色っぽくみえます。

リアルな描写・実写的な演出なので、普段アニメを見ない人、アニメ・マンガ的な表現が苦手な人にもおすすめ(目とか不必要に大きくない)。

それでは、また。


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今日のごはんはかき揚げ買ってきてそばです。
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