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大黒様の供養法

1.はじめに

日蓮宗の信仰を通して学んだことを書いていこうと思って始めたこのnoteですが、書くことが思い浮かばないまま今日まで来てしまいました。

ところで、日蓮宗では伝統的に本尊の脇侍に大黒天と鬼子母神を祀ります。また、真偽論争があるようですが、日蓮聖人はその御遺文で甲子(きのえね)の日に大黒天を供養することが幸せになるための秘中の秘と書き残されています。当家でも大黒様を仏壇にお祀りしているのですが、先日16日は甲子の日だったので贔屓にしているお寺にお像を持参し、お上人と一緒に供養させていただきました。

そこで、お上人から初めて大黒様の供養法を教わったため、まとめてみたいと思います。

2.大黒様には観音経

普段こちらのお寺でお勤めするときは「方便品第二、お自我偈、懺悔文(さんげもん)」なのですが、大黒様の供養を行いたいと伝えたところ「方便品、お自我偈、観音経(観世音菩薩普門品第二十五)」でやるといわれました。
いわく、観音経の「慈眼視衆生 福聚海無量」という経文が大黒様に通じるのだそうです。だから甲子の日には大黒様に観音経を読む。これは初めて知りました。
ちなみに読む速度ですが、私が木柾を持っていないためあまり詳しくないと前置きした上で、本拍子(修法師が読む早い読み方のときに打つもの)でやります。

3.勧請の代わりに大黒天神経

これはお上人独自の技かもしれませんが、お経本でいうところの勧請にあたる箇所(つまり出だし)で「仏説摩訶伽羅大黒天神経」の訓読を節を付けずに読みます。
もっとも、私の持っている大黒天神経収録のものとは所々言葉が違い、極め付けは仏様が大黒様に陀羅尼(真言)を説く場面があるのですが、手持ちの大黒天神経では「なまさんまんだ ぼだなん おん まかきゃらや そわか」となっています。ですが、お上人がお唱えになったのは全く違う陀羅尼でした。聞いたことがないもので聞き取りきれなかったのですが、これは大荒行第参行以上を修したお上人だからこそできるものだと思い、敢えて確認していません。家では手持ちの大黒天神経に沿って読もうと思っています。

4.ご妙判は「大黒天神御書」

これも真偽論争がありそうですが、お題目に入る前のご妙判(日蓮聖人御遺文)は「大黒天神御書」を読みます。おそらくお上人は御遺文の真偽よりもそこに書かれた言葉の持つ“祈りの力”を重視されているのだと思います。手持ちの御遺文集には収録されていなかったので、次回伺った時に写しをいただくことになっています。

5.宝塔偈の代わりに大黒天神相伝肝文と大黒天神授文

タイトルの通り、お経本では「此経難持 若暫持者〜」と読むところを「大黒天神相伝肝文、大黒天神授文×3」で読みます。「大黒天神相伝肝文」は日蓮宗オリジナルのお経かもしれませんが、古めのお経本には収録されています。「大黒天神授文」も同様。もっとも、後者は大黒様のお経としてポピュラーなもののようなので、ネット等でも探せば見つかるかもしれません。

5.手順のまとめ

以上述べてきたところを改めて時系列でまとめると以下の通り。

①勧請の代わりに大黒天神経訓読を読む

②勤行では方便品、お自我偈、観音経を読む

③ご妙判は「大黒天神御書」

④唱題

⑤宝塔偈の代わりに大黒天神相伝肝文と大黒天神授文を読む

⑥回向(諸祈願)

もっとも、各寺院、各地域で大黒様の供養法もそれぞれ独自の流儀があると思います。ここで記した手順もうちのお寺はこうやっているという一例です。菩提寺や信行寺院がある方はまずそちらのお上人に供養の仕方を教わってください。

7.終わりに

「大黒様に大国主尊を重ねて祈っても良いですか?」とお上人に伺ったところ、良いといわれました。神社でお札を貰ってくるより家の神仏を大事に、あちこちの神様に浮気は良くないということのようでした。この記事が大黒様を信仰されている方々(特に日蓮宗)の一助になれば望外の喜びです。


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