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代表KROの白血病を、昨夜のChilly Source JAMの余韻に浸りながら振り返る

こんにちは、Chilly Sourceのアキトです。昨晩、東日本橋CITANで行われた、Chilly Source JAM Special Edition 〜BASI BACK Again〜の余韻に浸りながらカフェにて、この記事を書いています。Chilly Sourceの代表のKROのことを昨晩のイベントのことと併せて書き綴ったものです。
この記事のオススメのBGMは「EVISBEATS - ゆれる feat. 田我流」です。

(Chilly Sourceって何?という方はこちらの記事をぜひお読みください。)

白血病との闘い

昨日は一年の総括のイベントだったと言っても過言ではない。なぜなら、この約一年間を「白血病との闘い」に費やしたChilly Sourceの代表KROが、昨日のイベントで、これまで以上の凄まじいエネルギーを放って復活を遂げたからだ。昨日のKROを見た方は、白血病で2日前まで入院していた人間だとは、まさか思わないだろう。

2018年3月末日。
「KROがしばらく高熱を出している。伝染病かもしれない、入院するかもしれない。5月に予定しているイベントの制作が間に合ってないからサポートしてほしい。」という連絡が彼の妻から入った。伝染病とは珍しいな、まぁしょうがない、状況を把握しながら引き継ぎをせねば、と思っていた。
が、その翌日、「伝染病ではなく、急性白血病だということがわかりました。この2週間が山場、そして長い闘病生活になると思う。まだメンバーの皆には言わないで。」という連絡がきた。

今でも覚えているが、その一報を仕事帰りの渋谷に向かう銀座線の中で聞いた。30歳にもなって動揺することなど、ほとんどなくなっていたが、この時ばかりは頭が真っ白になった。渋谷について、駅の階段をおりながら何度も意味を考えた。
「え、白血病ってあの白血病だよな?どういうことだ?伝染病じゃなくて白血病?白血病ってこんな風にいきなりなるものなのか?予兆もなく、元気極まりないあのKROが?なんでこのタイミングで白血病になるんだ?なんでだ?」と。

それからの日々は、常にKROの体調、というか、はっきり言うと、彼の「生死」が常に脳裏をよぎりながらの生活だった。唯一の救いは、白血病の中でも治りやすい部類だという情報だった。しかしながら、知識も何もない者にとっては「治りやすい」の説得力のなさたるや、ただの気休めの言葉に思えた。だが、それを希望に持つ以外はなかった。

ただその言葉通りなのか、はたまた何か奇跡が起きていてなのか、2018年のChilly Sourceのイベントの度に、KROは一時退院の時期が重なり、DJブースに立つことが出来ていた。そして、それだけでなく、所属アーティストのillmoreやpinokoのアルバム制作のために、複数の配給会社、レコード会社、アパレル業者との連絡や打ち合わせも、入院をしながら続けていた。そして、ミュージックビデオの撮影にも全てに出向き、病室に動画編集用のiMacを持ち込み、時には徹夜もしていた。

そんなことをしているなんて、病院の先生に知られたら怒られてしまうかもしれないが、私には、それは彼なりの最大の治療に見えた。「絶対にやってやるんだ、いいものを作るんだ」という思いと、「絶対に病気に勝つんだ」が彼の中では同義だったはずだ。もちろん、そうでもしないとやっていられない、と言う部分もあると思うが、結果として、彼の気持ちが落ち込んでいたのは直後の1,2か月くらいで、そこからというもの、彼の精神力が回復に向かわせたはずだ。

迎えたミュージックビデオ「Drunk」の撮影

そして、昨日。
この日は、所属アーティストのillmoreとゲストアーティストBASI(韻シスト)の共作「Drunk」という曲のミュージックビデオの撮影を兼ねたイベント、Chilly Source JAM Special Edition 〜BASI BACK Again〜だった。(この曲もまた生まれるまでにドラマがあるのだが、また別の機会に。。)


朝の10時にメンバーは集合し、少し遅れて機材を担いだKROが現場に姿を表した。いつもと変わらないKROだ。動画の撮影イメージを全体に共有し、ロケハンとリハーサルを何度も繰り返した。撮影の小物の準備から、細かい演出のタイミング、カメラワーク、など秒刻みの指示を全員に出していた。この撮影は曲の途中まで、いわゆる一発撮りと言われるカットなしの撮影という非常に難しい条件だった。車が通ってしまうとやり直し、一つでもタイミングがずれるとやり直し。それを彼が大声を張り上げながら、最後の最後まで全体を盛り上げながら監督する。



スタートォォ!!



いいよいいよ!!!!



はい!!ここで風船!!!



お花!!!ありがとう!!!!!



スケボォォーー!!!はいー!!!!



寄って寄って寄って!!!



いいよいいよ!!!キープキープキープ!!!



めちゃくちゃいいめちゃくちゃいいよ!!!



カウンター座りますー!!!!はい!!!寄ってー!!!!はいー!!!!!!



字に起こすとなんとも間抜けなのだが、体の底から絞り出す執念の声が、馬喰横山に響きわたっていた。一見すると、よく見えるカットも、彼からすると理想ではない。もう一度撮り直し、今度こそ良かったんじゃないかと思った時に、「あと一回お願いします!」の声。その後、イベントライブのリハーサルと休憩を挟み、予定を延長して、再度ダメ押しの一回を撮りきった。ここでイベント開始まであと30分。ギリギリだった。

Chilly Source JAM開演

オンタイムで会場のドアを開けると、これまでにないほどの行列が外まででき、あっという間に150人ほどのお客さんでCITANが埋め尽くされた。DJ Scene5がトップバッターで、ところどころに口ずさめる曲を挟み、早速会場を温める。いつもよりChillめな選曲でDJ Yenがその空気をキープ。pinokoは出会った頃から、すでに出来上がっていた感はあったが、アルバムリリースに伴って、更なる落ち着きを身にまとい、安定の世界観を作っていた。15MUSはCITANで初ライブにもかかわらず、大声援を受けながら堂々のパフォーマンス。彼の人柄もMC中に垣間見え、最高のステージを見せてくれた。その後のCecumは、Chilly Sourceや彼のDJ MIXでお馴染みの曲を混ぜながらillmoreにバトンを渡す。illmoreは言葉にするのも野暮だが、彼を撮影するお客さんの数が物語っていた。みんな彼のトラックにのり、揺れて、口ずさんでいた。


そして、満を持してBASIさんが登場した。前回よりチケット数をあえて減らしたのだが、変わらない歓声で出迎えられていた。ほとんどの曲を全員で合唱。合間のMCで笑いを連発。終始笑顔で、熱狂が渦巻いていた空間だった。

そして、ライブも一区切りつき、最後はお客さんも含めたライブ風景のシーンを撮影。お客さんの中で歌うBASIさん、携帯のライトと風船の演出が、今までのCITANに別のドレスを着せたような彩りを加えた。ここでもKROはお客さんに撮影イメージを伝えるため、マイクを握り指示を出していたのだが、声がちぎれてしまうのではないかと思うほど。KRO、そんなに声張らなくてもみんな聞こえてるよ、と。
そして、ほどなくして、熱気に包まれたままのCITANで無事に撮影は終わった。

KROという人間

KROは出会った頃から、どちらかと言うといじられキャラだった。天然でお茶目で、主語がとにかく抜けるので、時々何言っているか分からないし、誤字脱字も多い。変換も間違えて違う意味になっていたりするし、話していてもテンションが上がると、どんどん声が高く大きくなって、皆そんなKROの真似をして笑い合う。昨日も目の前にいるBASIさんを「BASIさんどこー?!?!」と探していた。「ここおるで。今目の前で、こんくらいの距離で探したやん。」皆が笑い、恥ずかしそうにする。愛されキャラである。

少し抜けているけれど、不器用でも、とにかく諦めずに愚直に努力し続けて、結果を出し、チームを向かうべき方向に率いて、「社会から見れば窓際の人。でもいつに生まれても『俺は俺だ』と。SWINGしてBOPしてHIPしてHOPだろ。」とでも言いそうな彼の姿が、チームメンバーはきっと好きだ。昨日の彼を見てこれからも支えていきたいなと思った。

と、書いている中、早速KROから「昨日のMV、とりあえず一旦つないでみた!!」との連絡がきた。(ここでも誤字が、、w)

ちなみに昨日彼は1:30すぎまで会場にいたはず。早く作りたい気持ちを我慢しきれずに、パソコンに向かった彼が容易に想像できる。

一度、入院というステータスは一区切りついたが、これからも通院と経過観察が2年は続く。油断はできない。

ただ、今彼に言いたいことはとにかく、「お疲れ様、よく頑張った!」の一言。「たまたまDIGした一枚のVINYLだったり、感動して頬つたう涙だったり、生きてるって実感を味わうその瞬間、ほんの一瞬、その一瞬を求めて」これからも止まらずに頑張っていこう!!

最後に

年末、独特に浮き足立つ感じと、昨日のイベントの余韻と、KROの復活の嬉しさが相まって勢いで書きましたので、長文駄文で失礼します。
今年は、illmore,pinokoのアルバムリリース、そしてコンピレーションリリースと、年始に立てた目標は達成でき、Chilly Sourceとしては飛躍の年でした。まだまだやりたいことは山積みですが、一つ一つメンバー全員で団結して乗り越え、みなさんにもっともっといいものを、いい空間を届けられるように精進してまいりますので、今後も変わらない応援をよろしくお願いします。
それでは、良いお年を。また年始のChilly Source Radioでお会いしましょう。

Chilly Source
アキト

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