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厦門ってなんて読むの?

晚上好。ガオチャオです。

福建省厦門市で11月15日から「2018年(第11回)厦門国際アニメマンガフェスティバル「創造未来」ゲームコンテスト」が開催されます。私はこのコンテストの日本国内宣伝と大会運営の一部を担当しています。

このコンテストの応募締め切りが10/21(日)なので今は準備の真っ最中ですが、応募を募る中でよく聞かれるのが

・「そもそも厦門ってどこ?」
とか
・「厦門ってなんて読むの?」

なんて聞かれて、改めて厦門が日本人に馴染みがない都市なのだと実感…

そこで今回は厦門の紹介をしたいと思います。

【厦門ってどこ?】

厦門は
・上海から南へ飛行機で1時間、新幹線(高鉄)だと5時間
・香港から東へ飛行機で1時間、新幹線だと3時間
・台湾から西へ飛行機で1時間、金門島からだと船で30分
にある厦門島を中心とした海洋都市です。


【厦門ってなんて読むの?】

厦門は廈門と書いたりもしますが「厦」の字は大きな建物を表します。明の時代にここに厦門城が作られたためこれが由来だとされています。

「厦門」と書いて現在中国全土で使われている北京語(普通話)では「シアメン(Xiamen)」と読みます。

しかし、厦門を含めた福建省南部で使われていて地元の言葉である閩南語では「エームン(E-mng)」と呼びます。そこから世界的には「アモイ(Amoy)」と呼ばれるようになったと言われています。

厦門市博物館にある蘭印商業銀行(現在のインドネシア・マンディリ銀行、オランダ・ABN AMRO銀行)厦門支店の看板


福建省にルーツを持つ人が多いシンガポールのAmoy Streetにある説明板


【厦門の歴史と文化】

中世にはアラブとの交易が行われ、マルコ・ポーロが「東方見聞録」に残した「Zaitun」は厦門市の前身「泉州」であり、この地域の人々が昔から世界中と交易をしてきたことがわかります。

アラブからZaitunへ(泉州海外交通史博物館)


17世紀以降は歴史上にこの地域から世界中に移住した人々、すなわち華僑が登場します。そのためこの地域は「華僑の故郷」と言われており、この地域で話される言語「閩南語(びんなんご)」は普通語といわれる所謂中国語とは全く違う言語なのですがアメリカ、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどを中心とした世界中の華僑ネットワークでの共通語となっています。

華僑華人分布図(厦門・華僑博物院)


また、台湾とは地理的にも文化的にも近く、台湾人の85%は福建省にルーツのある人々のため、閩南語の系統の一つである台湾語を使ってそのまま会話ができます。

泉州博物館にある福建省と広東省から移住した人の分布図(ちなみにこの地図の台湾は南に大きくずれている)


このような背景から厦門は香港に近い深センやマカオに近い珠海と共に中国で最初に選ばれた経済特区の1つとなりました。

4つの経済特区の位置図(厦門経済特区紀念館)


福建省といえば鉄観音茶や烏龍茶などのお茶です。台湾茶も17世紀に福建省から持ち込まれた苗木が元になっているといわれています。

厦門ではどこにいってもテーブルにお茶セットがあって、それを飲みながら会話をする文化があります。社長室とかに行くと社長が自らお茶を入れるのが常識になっています。

安溪鉄観音茶(中国国際投資貿易商談会CIFIT会場展示)


日本との関わりも深い地域です。応仁の乱以降、大航海時代とも重なった時代には中国と九州を中心に倭寇による貿易が盛り上がりました。

17世紀に中国の英雄で日本では近松門左衛門による歌舞伎「国姓爺合戦」でも有名な「鄭成功」はこの時代に中国から来た商人の一族の父と日本人の母の間に長崎の平戸で生まれました。

その頃から続く友好関係から長崎県と福建省は1982年より友好県省となり、長崎県佐世保市と厦門市は姉妹都市となりました。経済特区に指定されてからはパナソニック、TDKなど日本企業の進出が相次ぎ経済交流も長期に渡ります。

マグロ解体ショーが大人気だった長崎県佐世保市のブース(中国国際投資貿易商談会CIFIT会場展示)


厦門は中国が進める経済政策である一帯一路政策「海のシルクロード」の起点ともなり、日本を含めた外国企業との取引は拡大を続けています。

2017年11月にはBRICSサミットが開かれ、12月には日本の自民党、公明党の代表団を招いて中日与党交流協議会を実施しました。

今年3月には日本の文化庁と中国の中国対外文化集団公司の共催で「文化庁メディア芸術祭 中国・厦門展」が開かれました。文化庁メディア芸術祭が海外で展覧会を開くのは初めてのことです。

文化庁メディア芸術祭 中国・厦門展には中国では配信されていないポケモンGOを体験できるアトラクションや君の名はのシーンに入り込めるアトラクションなどが展示されていました。

文化庁メディア芸術祭 中国・厦門展の様子とショッピングモール「中華城」で開かれた新海誠展の垂れ幕


他にもクレヨンしんちゃん展が開催されたり、「モスバーガー」の中国初出店、クロッカンシューで人気のスイーツショップ「ザクザク」の中国第二号店があったりします。

世茂海峡大厦で行われたクレヨンしんちゃん展


厦門ソフトウェアパーク二期にあるモスバーガー


厦門の銀座、中山路にあるザクザクの中国第二号店


【厦門を観光する】

「中国のハワイ」というと海南島ですが、アメリカのニクソン元大統領は厦門に訪れて「東洋のハワイ」と褒め称えたそうです。厦門は観光地として大変人気です。

国内でも人気の高い観光地ですが、マスターカードが9月に発表した「急成長渡航先ランキング」の5位に厦門がランクインするなど海外からの観光客も多くなっています。


定番の観光地はコロンス島です。厦門の旧万国共同租界で様々な国の領事館がありました。もちろん旧日本領事館もあり1898年から1938年の日本による厦門占領時代、1945年の中国への返還によって占領が終わるまで使われていました。


コロンス島から戻ってくるフェリーは厦門の銀座とでもいえる中山路の入り口にある埠頭に泊まります。

中山路はここから中山公園の近くまで続く全長1キロほどの歩行者天国で、厦門土産を買い求める観光客や地元のショッピング客で週末は溢れかえっています。

西洋風の建物が並ぶ中山路歩行街。デパートやショッピングモールも多い。


厦門に来たら福建省の料理「閩南菜(閩南料理)」や海鮮レストランで食事をしましょう。

インドネシアから戻ってきた華僑が持ち帰った甘いサテソースを使って作ったといわれる沙茶麺(サテ麺)など甘い味付けが特徴で甘辛い料理はあっても辛い料理はありません。台湾料理と同じものもあります。

海鮮レストランは水槽から好きなものを選んで料理してもらうスタイル


疲れたら温泉に行くのもいいでしょう。日月谷温泉リゾート(日月谷温泉度假村)は3000円くらいから入れますが雰囲気は東南アジアのリゾート地です。

お風呂の種類がたくさんあり、私の貧困なボキャブラリーでは「高級な箱根のユネッサンみたいな感じ」としか言い表せません。Ctripなどでバスとセットの割引のチケットがあります。

「高級なユネッサン」日月谷温泉リゾート


余裕がなければ市内を散歩するだけでも楽しめます。湖が多く、釣り客もいます。湖の近くでは厦門の別名ともなっている白鷺がたくさん羽を休めています。島なので周りは全部海です。


厦門のことをもっと知りたい方は是非コンテストに応募して表彰式にいらしてください。締切は明日10/21(日)です。

このnoteではあまり厦門の文化や環境について書いてこなかったので、これからはちょくちょく書いていこうと思います。

中学時代からソフト開発販売、路上ライブ情報配信、地域情報動画配信で起業。2年のMBA生活+7年弱のサラリーマン生活を経てゲーム会社グラティーク創業。代表取締役将軍。中国でのゲーム開発をきっかけに月の半分厦門で生活しています。