見出し画像

『酔いどれ右蝶捕物噺』第二話公開

アルファポリスさんで、『酔いどれ右蝶捕物噺』の第二話『へっつい幽霊』の序章を公開しました。

第一話は一気に読んでいただきたくて、全6章をまとめて公開でしたが、第2話以降は章ごとに公開のスタイルです。アルファポリスの昭和家の機能が、まだ上手く理解できませんので。出だしだけ、以下に転載を。

「ふぁ~あ……いいお天気だねぇ」
 早朝、生あくびをしながら、戸を開ける老婆が一人。
 名はおきく、貧乏長屋の大家である。
 江戸の朝は早い。
 それでも朱引きの外の練馬などに比べれば、だいぶ宵っ張りではあるが。
 お天道様が昇れば起き、沈めば寝るのが人の本来の生き方である。
 眠りが短くなった老人にとって、早起きはやろうと思わなくてもできてしまうものである。
「あて、まずは洗濯物を片付けて。なんなら水天宮様にでもお参りに……ん?」
 お菊の足下に、泥だらけで白目を向いた、男の死体が転がっていた。
「……ひぃいい! い、行き倒れ…」
 死体の右腕がゆっくりと動き、後退りしようとしたお菊の足首をヌルリと掴んだ。
「いいィやああああ〰〰〰〰!」
 お菊が死体の頭をガシガシ蹴りまくると、死体が叫んだ。
「───イデデデデッ!」

  ◇◇◇

「新八つぁん! おまいさんの酒癖の悪さぁ、目に余るよ」
「あいすいません」
 ボロい長屋の中。
 お菊に説教を食らう新八しんぱちである。
 もう四半刻も、同じことをグチグチと聞かされている。
「店賃を三月もためといて、酒ェ飲む金はあるわけだ?」
「あいすいません」
「あたしゃこれでも町役人、御上の仕事も請け負う立場だ」
「あいすいません」
「だいたい、おまいさんは店子として───」
「あいすい…ま……うんむぐぅっ!」
 吐きそうになるのを両手でグッと押さえ、必至にこらえる新八!
 ……が、押さえた指の間からプピュゥ~っと吹き出す酸っぱい液体。
 直撃されたお菊の絶叫が、長屋に響き渡った。
「このぉ~スットコドッコイが!」

続きは、アルファポリスにて。

上記リンクをクリックして移動→

サポート、よろしくお願いいたします。読者からの直接支援は、創作の励みになります。