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質問箱020:キャリアの積み上げ方

※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

【質問】


【解答】

①作品と商品と創作

PR漫画や企画系の漫画を多く描かれている方でしょうか? 自身のオリジナル作品に比較して、そういう作品は商品としての面が、強くあるのは事実ですね。解決方法というわけではありませんが、対処方法は二つあります。

ひとつは、自分が書きたいものを別途、SNSやブログなどで発表して、心のバランスを取る方法です。ただしその場合、評価はあまり気にせず、本業に影響しない範囲で、ライトな内容や仕事量に抑えることが、有効のようです。本末転倒になってしまいがちですから。

実際、MANZEMI講座の卒業生の数人は、そうやって始めた趣味的な作品が出版社の評価を得て、結果的に仕事に繋がりました。最初から仕事につなげようと思って、受けを狙った作品(商品)づくりをすると、ストレスが溜まりますので。

②バッティング投手

もうひとつは、バッティング投手メソッドです。以前にも書きましたが、鉄腕とも神様仏様稲尾様とも呼ばれた不世出の大投手・稲尾和久さんは、プロ野球選手になった当初、バッティング投手をよく勤めたそうです。

当時の新人バッティング投手の役割は、打ちやすい球を投げ、打者に気持ちよく打ってもらうことがメインでしたが。しかし稲尾さんは10球に1球は、打者が苦手なコースや、自分が試してみたい変化球を、投げていたそうです。それぐらいは許容範囲ですからね。

そうすることで、バッティング投手をやりながら、自分自身のレベルを高めるための実験場にしていたわけです。PR漫画や企画漫画も同じではないでしょうか? 自分が描きたいオリジナル漫画の、お金が貰えるかどうかを試す実験場に、SNSをしてしまうのです。

③作品と商品の同居

他にも、似たような話はあります。例えば日活ロマンポルノからも、周防正行監督をはじめ、日本の映画界を支える監督たちが数多く生まれています。それは、一定時間のエロシーンさえあれば、他は比較的自由に作品作れる環境があったからです。

また現実問題、美人女優が服を脱ぎさえすれば、それでエロいシーンになるかといえば、そんなこともありません。エロいシーンには、エロいと観客に感じさせるための技術が、かなり必要ですから。その技術も実は必要です。

そういう技術はポルノ以外の作品でも、適度なお色気シーンなどで、観客を引き付けるテクニックとして、応用が効きますから。どんなジャンルであっても、本人に学ぼうという気・応用できないかと工夫する気さえあれば、無駄になることは少ないと思います。

④宣伝と紹介を兼ね

それでは宣伝も兼ねて、こちらの書籍も紹介しますね。鍋島雅春先生による名作映画『ローマの休日』の、作品解題でも、指摘されていることなんですが。オードリー・ヘプバーンの清楚さを全面に打ち出した名作であっても、ちょいちょいエロい要素を盛り込み、観客を飽きさせない工夫が満載ですから。

そうやって、オリジナル作品と商品用の作品を、並行して捜索していくことで、双方に好影響を与えることは可能だと思います。そういう実験的な要素を10%加えることで、商品にも独特の魅力が加わり、評価も高まるはずです。

かつてGoogle社には〝20%ルール〟と呼ばれる制度がありました。勤務時間の20%を、自分自身のやりたいプロジェクトに費やすというルール。 今では許可制になっているようですが、クリエイティブとは何か、考えさせてくれる、良いルールだと思います。


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