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質問箱017:プロとアマの違い

※Twitterの質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

【質問】


【解答】

①収入源でプロとアマ?

単純化するならば、主たる収入を漫画で得ているのがプロ、そうでないのがアマチュアということになりますが……。例えば、原稿料や印税の収入だけでなく、専門学校などの講師も兼業しているのも、漫画の技術や知識で食べているので、プロと言えるでしょう。でも、そう単純な話ではない面もあります。

ひょっとしたら、漫画家の収入よりも、大きな本業がある人もいるでしょうね。島本和彦先生とかが、実家の職業を継いだら、どっちが本業か? ジャンルは違いますが、レコード大賞受賞のシンガーソングライターの小椋圭さんは、大手銀行の支店長まで努めたわけですから、どっちが本業かは、一概にいえないですよね?

②紫式部もアマチュア?

個人的には、プロかアマかの分類は、あまり意味があるとは思っていません。なぜならば、紫式部も清少納言も、プロの作家ではなかったのですから。時代が下って江戸時代の井原西鶴さえも、職業プロの作家ではありませんでした。では、彼女たちの作品に価値はないのでしょうか? そんな事はありませんよね。

自分が好きな俳人に、杉田久女がいますが、彼女は生前、ついに一冊の句集も発表することなく、生涯を終えています。それどころか、師匠の高浜虚子に破門され、同人を除名されと、けして恵まれた俳人人生ではなかったです。でも、その作品は娘さんの尽力で没後に刊行され、今でも多くのファンを獲得しています。

③商業作家はまだ二百年

そもそも職業作家というのは、『南総里見八犬伝』などで知られる曲亭馬琴(滝沢馬琴)が、はじめて原稿料で食えた作家と言われます。、馬琴は1767年~1848年の人物ですから、つまり職業作家で食えるようになったのは、まだ200年ぐらいしか歴史がないのです。しかも馬琴、家賃収入が別途あってです。

本当に作家が食えるようになったのが200年、漫画家だとストーリー漫画家は、田河水泡先生が1899年~1989年ですから、100年ちょっとぐらいでしょうか? そんなものです。女性の漫画家だと、自分で出版社を持った長谷川町子先生(1920年~1992年)以降でしょうか。まだまだ新興の職業です。

④変わるビジネスモデル

そして今後は、漫画以外の仕事を持つ兼業作家が増えると、自分は思っています。でもそれは、市場の縮小を意味しません。雑誌に掲載されて原稿料をもらい、単行本の印税で稼ぐというビジネスモデルが変わるだけで。

そうなったときに、ますます商業作家とは何か、プロとアマチュアの境界線とは何か、分かりづらくなります。定義が曖昧になり、区分けは無意味に。でも、むしろ市場は拡大するような気がしますが、それはまた別の機会にm(_ _)m


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