「異世界ワンターンキル姉さん」のEDが素晴らしかった
このアニメを面白かったと言えるかは少し一考の余地がありますが、ED映像は色づけ・奥行きなどの演出、ストーリー性のある構成、謎ダンスによるシュール加減と全てをとって素晴らしいEDだったと思います。
絵コンテ/演出:藤本航己
作画監督:福地純平
当作品では交通事故にあったアサヒくんが異世界に転生したもののクソ雑魚で、いきなり命の危機になったところにお姉さんが駆けつけるわけですが、このEDはアサヒくんの転生~姉召喚までの補完エピソードになっています。おそらく本編にそういう話ってないんじゃないかなと思うし、このよくある転生ものでその補完エピソードを書こう!となった発想自体が面白いですね。
また、ストーリー性だけではなく表現も秀逸でした。
まずこのAメロの部分。異世界側(アサヒくん含む)は色づけされている反面、現実側(姉側)はグレーで色づけされている点で、弟を失った姉の絶望を強く表現できているのが素晴らしいです。髪色だけは元の色にすることで更に強調されているのもいいですね。また幼少期→異世界→現実と奥行きを見せながら時系列順に並んでいるのも、2次元的にも3次元的にも映像を見せていて秀逸です。
洗い物がたまるシンク、殺風景な部屋で絶望する姉。これでもか!というくらい弟を失った姉の絶望を描いているBメロ部分。2枚目なんかは手前に映っている制服っぽいモノから察するに弟の部屋でしょうか。基本灰色一色の姉サイドですが、この弟の制服らしきモノにネイビーブルーのような色が付けられているのも、強調し過ぎないアクセントになっているのがたまりません。
洗い物には包丁、Aメロでは高速で過ぎ去る電車、そしてサビ前では
このように飛び降りようとしている点から後を追おうとしていることを想像できるのも良いです。この飛び降りようとするカットで空が灰色ではなく青くしているのも面白いと思います。この後、姉は奥行きを突き抜けて異世界に到達するわけですが、このEDでは異世界と現実は繋がっているという表現をしていることになります。中々面白い発想に感じます。
本編でもそうでしたが、過去の記憶は4:3?のアス比にすることでわかりやすくしているのも良い演出だったと思います。このアス比といえばブラウン管、すなわち旧世代の映像比というわけで過去エピソードを流すのにはたまに使われる演出ですよね。ビルディバイドで主人公が妹のカードを盗んだ時のエピソードもこの演出が使われていました。
Aメロでもそうでしたが、この奥行きある表現いいですよね。この後この奥行きを姉が突っ走ってアサヒさんを助けるわけです。
最後は涙での対面。ここまで1分10秒。たった70秒にここまで詰め込めるのは素晴らしい構成と言えます。まさしく2023年トップEDでしょう。
コレは何?さあ......。まあアブソリュート・デュオも踊ってたから......。
余談
このEDの絵コンテ・演出を担当された藤本航己さんはこちらのEDも演出を担当されていました。
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