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煌 ~きらめき~

沈金(ちんきん)とは、江戸時代から日本に伝わる伝統工芸の一つです。塗り終わり完成した漆器に専用のノミを当て、文様を彫ります。

全て彫り終わってから漆を接着剤に、彫った溝に金粉を沈めます。「金」が溝に「沈む」ことから「沈金」と呼ばれる、漆芸の加飾方法の一つです。

彫る加飾技法のため、光の当たる角度によって表情が大きく変わる事が大きな特徴と言えます。

伝統工芸とは、その形状を最低100年保つことが出来なければ「伝統工芸」と呼ぶことは出来ません。

ー作品についてー

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輪島塗大皿にハリスホークをモチーフに沈金を施した作品です。

モデルは実在し、いつもお世話になっている動物病院の御子息が飼っている
ハリスホーク、コウくんです。コウくんに漢字があるのか訊ねたところ、考えていなかったとの事でした。

若いハリスホークと若いご子息の輝く未来を願い、音読みで煌(こう)と読むこの漢字を使い、一文字で「煌」きらめきと読ませるタイトルにしました。
様々なアングルから写真を撮らせて頂き、デッサンも様々な角度から描きました。

足の部分については、危ないので動物病院の先生に近づいて撮って頂いたり、全体の骨格に間違いがないか、デッサンを観て確認して頂いたりもしました。先生とご子息のご協力あっての本作品です。

・第19回日本フランス現代美術世界展入選作品
・第51回欧美国際公募フィンランド美術賞展推薦作品

ー作品制作にあたりー

どの作品においても、私はその作品に「生きて」欲しいと願い祈りながら
ノミを当て彫っています。色入れの際も同様に祈りながら。

動物や人物がモチーフの時は特にその想いは強くなりますが、般若心経のように文字のみの作品であっても風景であっても、想いは同じです。「生きた」作品が、どなたかの心に「生きて」何かを届けたとしたら、それが私の本望です。

また、伝統について語るとすれば、本来ならば伝統工芸という縛りの中で
アクリル板に沈金とは、考えられない事なのかもしれません。

しかし、「伝統」とは、時代時代によってその都度変化し少しずつ形を変えながら「伝統」として後世に残っていく物だと、私は考えます。

今後も、もしかしたら漆でもなくアクリル板でもない何か違う素材に沈金を施すのかも知れません。

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