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古今集巻第十五 恋歌五 771番

題しらず

僧正へんぜう

今こむといひてわかれし朝より思ひくらしの音をのみぞなく

題知らず
僧正遍昭
今またすぐ来るからと言って、別れた朝からあの人を思って、昼間に蜩がずっと一日鳴いているように、わたしもずっと泣き暮らしています

「今来むと言ひて別れし朝より思ひ暮らしの音をのみぞ鳴く」
「思ひ暮らし(おもひくらし)」に、ひぐらしを詠み込んでいます。物の名と言う技巧です。
「朝」は「あした」、「音」は「ね」。「なく」は、蜩(ひぐらし)が鳴くと、泣くの掛詞です。
男女の関係を想像して、女性の立場を詠んだ歌です。歌合などで披露されたものだと思います。

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