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古今集巻第十四 恋歌四 691番

題しらず

そせい法師

今こむといひしばかりに長月のありあけの月を待ちいでつるかな

題知らず
素性法師
あの人がもうすぐ来ると言ったばかりに、あの人を待って九月長月の朝の空に浮かぶ有明の月に出会うことになりました

素性法師が女性の立場で詠った歌です。
「今来む」は、今行きます、の意味。男性から今夜はもうすぐ行きますと手紙が来た。「待ちいづ」は待ち受けて出会うこと。
待っていて出逢いたいのは男性なのに、待ち続けた結果、朝になって空の白い月に出会ったという嘆きの歌です。
結句を間のびした字余りにして、長く朝まで待っていた感じを表しています。

素性法師は桓武天皇の曾孫で、仁明天皇の皇子常康親王が作った雲林院に住んで和歌の会を開くなどしていますから、いろいろな歌を詠んで披露していたようです。女性の立場で詠むというのも手本を示すようなことであったと思います。
この歌は百人一首にも採られている有名なものです。

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