古今集巻第十五 恋歌五 808番
題しらず
いなば
あひ見ぬもうきもわが身のから衣思ひしらずもとくるひもかな
題知らず
因幡
お逢いできないのも、悲しくつらいのも、我が身から出たことです、そういう思いも知らずに、衣の紐は解けて逢えるようだと知らせてきます
「相見ぬも憂きも我が身の唐衣思ひ知らずも解くる紐はかな」
「我が身の唐衣」は「我が身から(出たこと)」と掛けています。
「紐が解ける」ことを言うために「唐衣」を入れています。
衣の紐は、自然にほどけると、恋の相手に逢える知らせだと言われています。人の夢を見ると、「その人が自分を思っているからだ」というのと同じように、自分の身に起きる出来事は、良いことも悪いことも全て、誰かほかの人や恋の相手の気持ちが反映されているという考え方をします。
因幡は、基世王の女(もとよのおほきみのむすめ)です。基世王は、仲野親王(なかのしんのう、なかののみこ)の子で、仲野親王は桓武天皇の子です。因幡という女官としての名前は、父の基世王が因幡権守(いなばのごんのかみ)であったからと思います。権守は、副長官です。
応援してやろうということで、お気持ちをいただければ嬉しいです。もっと勉強したり、調べたりする糧にしたいと思います。