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古今集巻第八 離別歌 385番

藤原ののちかげが、からもののつかひに、なが月のつごもりがたにまかりけるに、うへのをのこども、さけたうびけるついでによめる

ふぢはらのかねもち

もろともになきてとどめよきりぎりす秋のわかれはをしくやはあらぬ

藤原後蔭が、唐物の貿易の役人として、長月九月の末ごろ出発する時に、殿上人たちから、酒を賜った時に詠んだ歌
藤原兼茂
みんなとともに鳴いて留めてくれ、こおろぎよ、秋の別れは惜しくないだろうか

 「唐物の使い」は唐からの貿易船が北九州に入る時に、積荷の検査をする役人のことだそうです。唐からの輸入品には殿上人も関わりがあるので、出発の前夜にはお酒を下賜するのでしょう。
 長月のつごもりは、翌日からは冬ですから、仲間にとっては、どうしてこんな季節に仕事で派遣されるのかと残念に思うのでしょう。
 「きりぎりす」は漢字で蟋蟀で、この頃は「こおろぎ」のことです。そしてキリギリスは、鳴き声(ぎーっちょん)が機織り機で布を織る音に似ているので「機織り(はたおり)」と呼んでいたそうです。

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