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Let's enjoy death(死)!!~最高に楽しいお葬式~

「わたしが観てるのはダンスじゃない。生き様やんか」

6/29湿気があふれた京都にて、Kyoto Dance Exchange(通称KDE)さんのダンス公演「えんじょいデス」に参加しました。

この公演はダンサーマイクさんの生前葬でもあります。

難病ALSと宣告されたマイクこと、マイクスタンディングさん。わたしが公演に参加した5年前、いつもかばんに焼酎の入ったワンカップを忍ばさせていたお茶目な78歳。

そう、78歳現役ダンサー。

この公演を観に行くことになったのは、数か月前KDEのリーダーまやさんから連絡をいただいたことがきっかけでした。

実は同じ日に東京でライティングの講座を申し込んで、すでに受講料も支払い済み。

でも、連絡をもらった瞬間に「行きます」と答えていた。

絶対に行かなければ、と思ったのだ。

会場は京都芸術センター。大学時代から数えきれないほど足を運んだこの施設。妊娠が分かる前に行ったっきり、なんと3年半ぶり。

公演を観て記事にしてほしいとのご依頼もいただき、リハーサル中からひっそりと会場入り。気配を消して、本番前の空気を切り取る。

本番中はもちろんのこと、その前の張りつめた空気や表情がとても好きなのだ。

メンバーの皆さんとお会いするのも5年ぶりくらい。そんな時間を感じさせないほど、すんなりと受け入れていただく。

こうして書きながらも、迷っている。一体わたしに何が書けるだろう‥と。

当日観た景色は言葉で表せるものじゃなくて、写真を撮り、メモを書きなぐりながら、「わたしはいま、一体何を観ているんだろう」と思い続けた。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。

難病ALSを宣告されたマイクさんは、病気は受け入れられたけれど、自死を選ぶことを決意していたと言う。遺書も書いたと。

そんなマイクさんを表舞台へと引っ張りだしたのが、リーダーのまやさん。

KDEのダンスはわたしたちがイメージするダンスの枠組みをこてんぱんに壊してくれる。年齢、スタイル、整然と揃った振り付け、見た目の美しさ‥ダンスと聞いてまず思い浮かぶ数々のイメージを、「そんなもんじゃないよ、ダンスは」と蹴散らしてくれる。

自分自身が参加した時に、まさにそれを実感した。わたしの中でダンスは、それこそ宝塚や劇団四季が真っ先に思い浮かぶ。美しい選ばれた人たちが、ピシッと一糸乱れぬ振りを踊る。

そこには観客と演者の間に、しっかりと線引きがある。「わたしにもできるかも」よりも、「わたしには無理や」が先に来る。まさに、夢を観に行く場所。

でもここでは違う。線引き?全くない。

生活のその先にある、ダンス。

年齢も性別も人種も。健常者も障がい者も。

そこで感じるのは、「うまい下手」よりも「その人の息づかい」「そもそも存在していること」だ。

わたしが観たのは、ダンスなんだけど、ダンスじゃない。マイクさんの、そして参加者みんなの生き様だった。

わたしたちは、病気の人を前にして無意識に「この人の方が死が近い」と感じる。少なくとも、わたしはそうだった。

2年前に父が食道がんでステージ4と宣告された時も、死は父のそばにいて、自分にはまだ遠いものだとどこかで思っていた。

でもそれは違うんだと気づかされた。

わたしたちはどれだけ元気でも、みんな緩やかに死に向かっている。生まれた瞬間から、誰でも絶対に死へ向かっている。

「あの人は病気だから、自分より先に死ぬ」それはただの思い込みで、いつ、どの瞬間に命が終わるかなんて、誰にもわからない。病気のあの人より、自分の方が先に死を迎えるかもしれない。

そう感じた時に、強烈に思い知ったのは「生」だった。

いつ来るかわからないその時、それを思うほど、自分はまだ生きている。そうだ、わたしは生きてるんだな‥と。

こうして目を覚ます瞬間があるから、それを意識できるのかもしれない。ただただ毎日を過ごしていたら、生は当たり前すぎて、死は遠すぎる。

マイクさんのために、これだけ多くの人が足を運んだ。マイクさんは、人との縁を「点」で終わらせず、「線」にしてきはったんやな‥。

もしもわたしがある日難病に襲われ、同じように生前葬を企画したとして、一体何人の人が足を運んでくれるだろう?

人との関りを、点と点で終わらせず、線にしていくこと。誰とでもそうなる必要はないけれど、「この人とは!!」と思える相手とは点で終わらせないこと。

「生前葬は、これでさよならのグランドフィナーレではなく、今からどうできるのか?これからどうしたいか?を考えるきっかけにしたい」リーダーまやさんの言葉がしみた。

たった2時間強の時間。とても短い時間。でもそこには、強烈な生き様と生と死。そして、最高に楽しいお葬式があった。

ていうか、葬式って楽しくていいんやーーーん!!笑いと歌とダンス、少々の涙。逝く人も、残る人も、みんなでバカ騒ぎ。

わたしもそんな風に、死んでいきたい。

最後まで、どう書こうかと迷ったけれど、ただただ指が動くままに、想いのままに書かせていただきました。

マイクさんのブログはこちら→https://hikurashi.com/

生前葬の第二弾!(生前葬やのに第二弾がある!)は12月に京都芸術センター前、明倫自治会館にて。

あなたもご一緒にどうですか?


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