ちょっと真面目に「娘役論」前編

宝塚歌劇‥と聞いて思い浮かべるものって、なんでしょう?

煌びやかなステージ。
豪華な衣装。
大階段を下りる羽根を背負ったスター。
一糸乱れぬラインダンス…

そして、リアルな男性よりもカッコいいと言われる男役スター。

…そこに、華憐な娘役さんたちは浮かんでくるだろうか?

そりゃ私だって、男役ばっかり追っかけていた時代はあるけど‥。

初めて宝塚を観た22年前、目の前で歌い踊る男役スターさん達にくぎ付けになった。その姿はそれまで生きてきた中で「一度も目にしたことがない」存在で、気障な仕草も、低い声も、燕尾服で踊る姿も異次元すぎた。

幼いわたしが夢中になるのは仕方がなく、それから数年はひたすら男役さんばかり追いかけた。自分自身も、いずれは背が伸びて男役になれるんだと思い込んでいたし!(‥現在の身長157.5センチです、ええ)

でも、勉強やら部活やら大学やら就職やらで宝塚から遠ざかること数年。

ふと観返したとき、わたしをくぎ付けにしたのは「娘役さん」たちだった。

色んなタイプの美女たちを集めてみました♡(わたしが好きだった方たち、次々に退団されてしまって公式の画像がない‥)

女性が男を演じる宝塚。その相手を務める娘役。

そこには普通の舞台とは異なるスキルがたくさん求められる。

・歌うキー、喋るキーの高さ
・優雅なスカートさばき
・毎公演ほぼ手作り!!の大量のアクセサリー、鬘のセンス
・「膝折」と呼ばれる、小柄な男役の隣に立つときに身長を下げるスキル
・なんやかんやで求められる「お慕い芸」
・なんやかんやで求められる「男役より一歩二歩下がった態度」
・出番や役が少なくてもモチベーションを保つメンタル

↑ここ!!ここ!!
わたしが思う娘役さんに一番不可欠なスキルって、この「出番や役が少なくてもモチベーションを保つメンタル」だと思ってるんです。

娘役、役が少なすぎるだろうがああああ!!問題。

ようやく主題に入りました。

未だに、「男役の男役による宝塚」を突っ走ってる部分がある宝塚歌劇。もちろん宝塚の魅力のひとつは、唯一無二である「男役スター」なのは認めます。わたしだってせおっちが大好きなんだし。

が、しかし。

娘役さんが余りにも「添え物」「かすみそう」扱いになっていることがあり、ほんまに解せない。もう令和だよ?平成も終わったんだよ?頼むで演出家の先生よおおおお!!

男役スターのキャリアは様々。

人気、実力を兼ね備えてトップスターへ上り詰めるのが究極のゴールだとしたら、

・渋いわき役、老け役スターとして組を支える(10年以上選手、専科)
・路線のスターではないけど、人気を誇るおいしいスターとなる

そもそも男役は役が多いのです。

主役級、いわゆるトップ、二番手、三番手‥というスター路線以外の役でもおいしい役がたくさんある。そこに上級生男役が配役され、なんやかんやと露出が多い。物語を進めるのは、あくまで男役というのが宝塚の王道。

その反対に娘役は…。

トップ娘役は置いておいて(そこすら、おいおいおいおい!ってなる、しょっぼい役だったりする。どの演目とは言わんけど・・ぶつぶつ)、それ以外の娘役が活躍できる演目って本当に少ない。

例えば源氏物語だったり、「女性がそもそもたくさん出ている」演目ならいざ知らず。見た目も、実力も兼ね備えたスターたちが、大勢のひとり‥よくてセンターで踊ってる…みたいなこともよくある。

…ちょっとおかしくない?

ぶっちゃけ、男役は人気もあるし、ファンも多い。ある程度の年数在籍すれば私設ファンクラブもできて、お稽古の入り出までファンの方が付き添っていたりする。

かたや娘役はそこまで華々しいファンクラブもあまりなく‥。割と有名な娘役スターさんでも、ひとりで劇団を行き来しているのをよく見る。

舞台上でも、舞台外でも、男役に比べて「報われない」率が格段に多い、それが娘役スターなのだ。

そもそも男役になるにはある程度長身である必要があって、その時点でなれる人は限られる。自然と娘役の方が多くなり、少ない役を巡って競争は激しくなる。

娘役は勝負がつくのが速い。

そんな熾烈な中にあって、一番の大変ポイントは‥娘役は勝負がつくのが速すぎる‥ということ。

「男役10年」という言葉があるように、男役はその芸が完成するまでに10年はかかると言われている。トップスターへの就任も、早くて10年前後。

それが娘役になるとどうか?

だいたい、3~5年でトップが決まる…!!!そう、若い子がどんどん抜擢されるのだ。早ければ音楽学校の時点で抜擢が始まり、初舞台でも目立ち、組に配属されるや否や抜擢につぐ抜擢。

ヒロイン経験をひたすら積んで、早々にトップとなる。

ということは、自分が必死にチャンスを掴もうとしている間に入ってきた下級生が、すっすっすーーーと自分を追い越し、トップになってしまったりする。

…めちゃくちゃきつくない?

いくら頑張っても、役自体が少ない。腐らずに努力しても、男役よりも日の目を見る可能性は低い。

それでもメイクに衣装、鬘にアクセサリーに手を抜かず、どれだけすみっこにいても笑顔。

ああああああ、頭が下がる、本当に。

と、ここまで書いてなんと2000文字をオーバーしてしまったーー。書きすぎ!!いやもう、止まらんくて。語りだすとほんまに止まらんくて。

ということで、続きは後日アップしたいと思います。

こんなディープな話に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!よければ続きも是非‥!!よろしくお願いします。


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