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6/28-30 大阪ー香港ーマカオ初日

旅を始めたらブログを書こうと思っていたのだが、出国してからもう10日程経ってしまった。どのように書こうか決めないまま書いているのだが、とりあえずこの10日であったことをダイジェストで書いてみる。

6月28日 

 福岡から大阪へ。高校の同期であるゴローに会う。大学時代は高円寺のボロアパートに住んでいたはずの彼の家は、就職後完全にグレードアップしていた。オートロックマンションかつ、システムキッチンかつスマートTV、洗面所にはちょっと良いめの口臭ケア用品。リアルRPG感が各所のレベルアップに現れていて感動した。と同時にもう深夜一緒に水漏れと戦ったり、寒くて布団も無い部屋でなんとか暖を取る方法を話し合うことも無いのかと思うと少しだけ寂しくなる。まあ何にせよ、新しい生活が始まるのは愉快なことだ。ゴローの就職祝いやら僕の出国祝い等兼ねて、大阪天満で飲む。大いに盛り上がる。大いに盛り上がる。

6月29日 

 飛行機逃す。6時50分起床。遅刻を確信した後、衝撃で全身の毛が抜け落ちる。間に合わぬと分かりつつ一寸の願いを込めてタクシーに乗り込むも「G20で高速使われへん」とのこと。こうして旅は終わった。ほんま、おおきに。

 と言うわけには流石に行かないので、もうこれっきりこんな阿呆なことはするまいと思いながら完全通常料金で大阪ー香港便を取り直す。せっかく破格のチケットを取っていたのにパアになってしまった。グウの音もでない。G20さえ無ければ間に合っていたはずである。責めるべくは国際関係だ。G20め。想像してごらん、国境の無い世界を。
 とまれ、昼過ぎに出発した飛行機は午後3時半香港国際空港に到着。向かうは安宿で有名重慶大厦である。

 この中にあるAkamai deluxeに宿泊する。デラックスとはまあ名ばかりで独房感強め。ただ、入り組んだ重慶大厦の中のドミトリーは、世界を相手に隠れんぼしている感じがして中々良い。

    ↑窓開けると大体こんな感じ。室外機の音がゴオゴオと言っている。

 同室のティムと仲良くなる。ドイツの元生物学者で、自分のリサーチがモンサント等の環境悪のために使われていたと知り、仕事を辞めて世界旅行に出たらしい。極端かよ。ティムは元カノがキャビンアテンダントだったらしく、色々と付き合い方について教わる。というのも僕の彼女も現在CA(キャビン・アテンダントって読むんだぜ)としてシンガポールで奮励努力しており、映画『クレイジーリッチアジアン』等観た僕は彼女から「あたし、ヘリコプター持ってない人とはやっぱり付き合えない。ばいばい。」などといつか言われるのでは無いかと大変ビクビクしておるのだ。以下はティムの教えである。

1. 不定期でしか会えないからこそ、会える日は特別な1日にすること
2. 連絡は過剰に取り合わない。相手が今何をしてるか疑いの心を持つより、相手が楽しい1日を過ごしていることを祈ること。
3. ここは聞き取れず。何か重要なことを言っていたような気がする。ごめん。

 でもお前別れたやん?と質問したい気こそあれど、かなり丁寧に教えてくれたのもあって何だか聞き辛い感じになったのでティムとCAの恋がどのように終焉したかは謎のままである。やっぱヘリだろうな。
 香港はナイトマーケットや夜景等見て回るも余りテンションが上がらず、翌日マカオに行くことを決める。ティムと明日公園で散歩する約束をする。

6月30日 

 テンション上がらないまま深夜まで歩き回ったせいか、案の定起きるとティムは居ない。置き手紙を読むと「わりーけどお前寝てるし一人で行ってくるわ。また昼な。」とのこと。ごめんティム。ていうか5時起きは無理だ。
 いざ朝シャンとシャワーのドアを開けて女の子と鉢合わせする。「あっ!ごめ、ごめ!あっ!いや、ちが、ごめ!」と日本語でキョどる我。こういう時スマートにドアを閉めたい。ユータとかこういう時も格好良いんだろうね。しばしさっき見た裸に部屋で悶々とした後、シャワーを浴びる。上がるとティムがバックパックを抱えて待っていた。どうやら部屋に戻るまでチェックアウトを伸ばしてくれていたらしい。ダンケ。ドイツに来た時は連絡来れとのこと。ダンケシェン。
 11時半。チェックアウトして、適当に屋台で昼食後wi-fiのあるカフェで彼女と電話等する。この旅でも、ティムの教えをとりあえず守っていく方針で行く。電話中、今日からマカオ行ってしまおうかということになる。香港ではスコールが降って、止んだ。
 14時半、太郎さんから「ペニンシュラホテルのトイレは見ておいたほうがいいぞ」との御達しがあり、高級ホテルへトイレ見学へ行く。バックパック旅行中は綺麗なトイレを使うだけでテンションが上がるため、これはマスト・ゴーである。という訳でホテルに潜入するのだが、皆の目が痛い。まず広すぎてエレベーターが見つけられない。更にはボロTシャツとバックパックの僕に対しての「お呼びじゃねーよ」感に動悸がしてしまい一旦退出し、一服する。自分が気にしすぎなのも勿論、というかそれが殆どなのだが、やはり「お呼びじゃねーよ」感みたいなものを感じると自分はキョどる傾向にあるため、ここはジャーナリストになった体で行くことに決める。意気揚々と再度大ペニンシュラへと馳せ参じ「ちょいと最上階で取材があってね、エレベーターはどちらだったかな?」とフロントに聞く。スゲー首を傾げながら案内してくれるスタッフ。エレベーター目と鼻の先にあった。エレベーターを降りるとスタッフが待ち構えており、危うく最上階にあるレストランへ案内されそうになる。席に座ったが最後、今回の旅の資金全て無くなるのは目に見えているため「いや、ちょっとココでクライアントを待たせて貰おうかな。ところで、トイレはどこだい?」と聞きやり過ごす。方向だけ教えてもらい、ああそうだったそうだったと言いながらドアを開けると背後から声を掛けられる。そっちは女子トイレとのこと。役満である。
 何だかんだでやっとトイレについた頃には尿意など全く無い。しかしながら目の前に広がるのは絶景である。所謂「絶景」と違うのは、香港の貧富の差を見下ろしながら小便ができるということにある。ニョキニョキと伸びる高層ビルの間で貧民層の住む雑居ビルは万年日陰状態となっており、屋上の様子だけでもその差は歴然であった。一体この街はこれからどうなっていくのだろう。重慶大厦に住んでいたアフリカ系移民達の居場所とかもいずれ無くなって行くのだろうな。ああ、おしっこでない。

↑トイレからの景色。「香港 ペニンシュラ 最上階 トイレ」で検索すると分かりやすいのが出るはず。すごかった。

 キレの悪い小便を済ませ振り返ると、男が立っていた。こちらの様子をジッと伺っている。何者?怒られる?ちょっと資本主義の成り行きに思い馳せたりしたから?とか思っていると手招きされる。何とこの人、手洗い用の水を出したり、石鹸のノズルを押したりする専用の人なのであった。大ペニンシュラのトイレには水アンド石鹸出し係が常駐で付いているのである。何その仕事。こんな僕にもきちんと仕事をこなしてくれる訳だが、これが凄く気まずい時間だった。どんだけお金持ちになったとしても、これに違和感無くなったら絶対終わりだと思いながらペニンシュラを後にする。ミッションクリアである。

 午後四時半。中国フェリーターミナルより、マカオへ。「こにちはー、またねー」と言われつつ過去最高に雑なイミグレを抜ける。道中、クレジットカードが止まっている事が発覚する。これでは今回の旅の目的であるインドへも行けずじまいだ。どうしたものか。
 不安を抱えつつマカオに到着したのは午後6時であった。とにかく、クレジットカード問題の目処が立つまではこの国で何とか過ごしたい。せっかくカジノの国に来た訳だし、とりあえず今日の宿代を稼いでみるのはどうだろうということになる。
 
 午後6時15分。中国語で海立法。英語でOceanus Casinoに到着する。旅前に日本でオーシャンズ12を観たばかりだし、予習はバッチリである。目標は香港ドルにして500ドル。これを稼ぐことができればとりあえずマカオで1日過ごすことができる。
 
 気づけばそれから1時間強見物していた。かなりのめり込んでしまって、目がパッキパキに乾いていた。何よりもバカラが面白い。旅前に読んでいた沢木耕太郎の『波の音が消えるまで』の世界観のまんまである。客は華僑が殆どだろうか?色々な人がいる。怒る人、笑う人、如何にも博打好きなおばちゃん、仲良しの老夫婦、酔っぱらい。バカラばかり見学していて思ったのは「良い流れを作る人がいて、流れが来たら終わるまでのインターバルがどれぐらいあるかを掴む」ことが大事だということだ。つまり何というか、トランプに賭けるのでは無く、人に賭ける感じ。
 「人に賭ける」ことを自分のルールとして、1500香港ドルをチップに変え、いよいよ勝負に出る。目指すは今日の宿代500ドルである。

 カジノ内は写真撮影が禁止されている。従ってチップの変化の経緯をネットに上げることができないのだが結果を言うと、この日僕は2400香港ドル勝った。途中もう帰ろうもう帰ろうと思いながら熱くなってしまい中々帰れず、得意でも無いブラックジャックのテーブルに無造作に500ドル放り込み、一瞬にして無くなったのを見て我に返った。いざカジノを出ると思いの外大勝したことに思わずニヤニヤが止まらない。うっわ俺、神じゃん。神だ。と思わずカニエとか聴きながら帰路に着く。今日の宿は無事に確保できた。400香港ドルの宿で、道中大きい公園など通る。マカオの人はランニング大好きらしい。夜の公園で走る人々とすれ違いながら、振り返るとさっきまで自分がいたカジノが向こう岸に見えた。非常に対照的で何と言うか、博打というのはやはりあまり良く無いものであるような気がしたのだが、まあ勝ったし、神だし、関係ないと思うことにした。

 深夜、目的の400香港ドルのホテルに到着する。カジノから30分強歩いた。いつもと違う疲れが全身に溜まっていたが、カジノが頭から離れず中々寝付くことができない。何となく、明日も宿代ゲットチャレンジしてみたいな、と思いながら眠りにつく。


※10日を振り返ると言いつつ、三日で疲れてしまったのでちょっと休憩します。なんとか今日に追いつきたい。

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