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「お金と目的」の甘美さ、危うさ、一体さ

田中慎一さんのコーポレートファイナンス入門に出ています。スタートアップを経営する身としては、経営者自身がファイナンスの新しいトピックを把握して、方向性を指示できるようになっておきたいという動機です。

田中さんは、本も出版されていて、ファイナンスのプロ中のプロです。

買収案件その前に

先日、2回目の講義があったのですが、1番心に残ったのが以下のスライドでした。

というスライドでした。百戦錬磨の田中さんが最初に持ってくるスライドなので、やはり重要なんだと思います。

後付けの適当な目的で買収すると失敗するよ

という事を伝えたかったのだろうと思います。

日本企業の中でも日本電産は抜群にM&Aがうまいとのこと。「永守CEOに明確な目的意識がある」から、M&Aが成功しているのだろうと思います。

目的が重要な時代

私は、M&Aなんかやったことがなく、せいぜいキヨスクでM&Mを買ったくらいの経験値しかありませんが、「経営者として商品やサービスを買う判断」は、日常的に行なっています。

ちきゅう株式会社ではSNS経由での売上も多かったので、以下の軸で整理して判断していました。現在も、この枠組みで考えています。

では、各象限について、説明していきます。

①会社戦略にFITしている&社会の共感を得られる

これは、「予算内であればすぐに発注。とても効果的な投資だと思えば、お金を集めてでも実行する。」という方針でいいと思います。

これを機動的に行うには、「会社戦略が明確で、具体的になっていること」「社会の思惑について洞察できていること」が大事です。

「バズるし、会社の資産を増やす」ような施策になりやすいです。

②会社戦略にFITしている&社会の共感を得られない

これは、「実行するとしたら、相当丁寧に背景等をコミュニケーションする」というのを意識しています。

雑なコミュニケーションだと、共感ではなく、反感が生まれてしまいます。それは、ある種のブランド毀損なので、「お金を使ったのに資産が減っちゃった」という状態になってしまいます。故に、「目的」等をしつこいくらいに、相手の立場に立ってコミュニケーションするようにしています。

これは、「迎合」ではなく「大人の思いやり」だと思うんです。

③会社戦略にFITしていない&社会の共感を得られる

この象限は「会社戦略そのものを批判的に考える」ようにしていました。

企業は社会の中に存在します。「社会が求めているのに自社の目的とはずれている」というのは、「会社戦略の筋が良くない可能性」と「自社の強みと遠過ぎてやるべきではない可能性」を、冷静に深く思考する必要があると思います。

ある種、会社戦略を微調整するトリガーとして、③の象限を使っていました。「人間の根源的な欲求」に遡って、思考するようにしていました。

④会社戦略にFITしていない&社会の共感を得られない

この象限については、思考するリソースを節約するために、自動的にno goとしていました。

ただ、「未来の商売のタネ」は、この象限から出てきます。「自社でも具体化できていない&未来に必要となるけど新し過ぎて共感は得られない」お金の使い方の可能性があるからです。

ただ、キャッシュに余力のないスタートアップが手を出す領域ではないですね。

まとめ

大学生の時に、彼女に1980円のクッションを誕生日にプレゼントしました。

・お金がなかった自分の戦略にはフィットしていた
・「クッションは別に欲しくない」&「超ダサいクッション」&「部屋のインテリアに合わない」&「彼氏(私)はドヤ顔している」の四重苦で共感ポイントゼロ

②の象限ですね。2ヶ月後、フラれました。涙

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