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歌って踊れる50代。 Janet Jackson 50 years of Me - ポートメッセなごや・2024.3.16

50年のキャリア、ってなかなかではないですか。日本社会のシステム的に、50年同じ会社に勤めるってのもないし、おじいちゃんの時代には子供の頃丁稚奉公行ってそのまま仕事覚えて独立して…とか昔はあったのかもしれないけど、そういう職人さんでもない限り、なかなか50年ずっと同じキャリアってないと思う。歌手って職人なんだな……。

会場は、ポートメッセなごや。名古屋から電車で25分ぐらい。感覚としてはゆりかもめでビッグサイトに行く感じでしょうか(東京に住んでるふりして書いたけど、私が東京人ではなくなったのはもう15年も前でした、ははは)。

ここのこけら落とし公演は小田さんで去年行われました。私は行っていないのですが、行った知り合いからは、あまりポジティブな感想を聞かなかったので(トイレが遠いし足りない、ぐるぐる歩かされる、広いだけでステージ見えない、音も跳ね返って聞きにくい、など)、勝手に不安に思っていたのですが、考えてみれば、私はトイレにあまり行かない人間だし、入場はぐるっと回ったけど退場はまっすぐ駅に行けたし、場所もまあ展示場だしなとわかって行ったのでこんなもんかなーという感じだったし、音はものすごく良かったので、きっといろいろ改良されたのだと思います。

ジャネットの前に、TLCのライブが行われました。会場に入る前にTLCと書かれたシャツやパーカを着ている人たちもちらほらいたので、こちらを目当ての人もいたかもしれない。ポスターには「スペシャルゲスト」と書かれていたので、一緒にパフォーマンスするのかな、なんて思っていたけど、違った。この1時間ほどのTLCのライブで観客はものすごく盛り上がったと思う。個人的には知らない曲もありましたが、とりあえず踊っとけーという感じでリズムの乗っているうちにとっても楽しくなってきた。

TLCのパフォーマンスが終わると、一度照明がついて20分ぐらい休憩が入りました。そのうちに待ちきれないファンがBGMに合わせて踊りだし、それに参加していく人たちや録画しようとする人で通路がワイワイしだし……みんな楽しみにしているワクワク感が会場の空気に溶け込んでいるのがわかる。キラキラしてる。そして会場が暗転すると、スクリーンに「私の50年」と題した、子供のころからの写真がパパパパっと切り替わりながら今の写真へ(可愛いしきれいだし、好き)、そして、紫色のマントを着たジャネットがセンターから出てきました。

歓声と拍手とケータイの灯り。スモークがたかれた会場で席も近くはなかったので、小さかったけど、確かにジャネットが見えました。わーい。

マントを脱いだジャネットはキラキラのパツパツの服に大きなパープルのおリボン姿で、キレッキレに踊り歌う。歌って踊れる50代、私の憧れだ。当たり前のことなんだけど、バックバンドの演奏も録音かってぐらいに完璧だし、音もきれい。
ジャネットの歌声はささやくように耳に優しくてすごく心地よくて好き。

あえて、残念なことがふたつ。
あまり大きくないスクリーンがスモークでよく見えなかったので、ステージの小さいジャネットを目を凝らしてみるか、スクリーンの彼女を目を凝らしてみるかの二択だった。とは言え、とにかくジャネットが同じ空間にいてナマ歌が聴こえているんである、あまり余るほどに十分なのでした。もうひとつは、「Again」。ジャネットが客席へマイクを向けて「歌って~」という感じだったのだが、客席はとっても静かだった。でも彼女はあきらめず、ほぼずっとマイクを向けていたので、ずっとほぼ静かだった。日本人はですね、全部英語で歌詞を覚えるってですね、なかなか難しいのですよ。サビとかね、簡単じゃないとね、難しいのですよ。大好きとかね、英語ちょっとできるとかね、そういう人じゃないと、全部歌うのは、難しいのですよ。ということで、ごめんねジャネット。家に帰ってきてハワイのライブをYouTubeで見たら、みんなものすごく歌ってた。母国語だからね。ほんと、ごめんね。名古屋は初日だったので、その後「Again、覚えて行って!」ってメッセージがどれぐらい発信されたかわからないけど、大阪、横浜ではみんな歌ってくれたことを切に祈る。

あとは全部良い。スバラシかった。
さすが身内、マイケルと一緒に歌った曲ではマイケルの歌声と映像が流れる。ギャ〜!と観客が声をあげる。こんなところでマイケルに会えるとはー。アーティストってすごいなと思う。実際に亡くなっていても作品が映像や音としてこうやって残って、いつまでも聴く人たち観る人たちを楽しませてくれる。
ラストのRythm Nation。圧巻のダンス。何度も何度も観たPVの中に、音とリズムと一緒になって吸い込まれるような錯覚。私たちはリズムの国の一部…

観客も老いも若きも、年齢幅が広いと感じました。若者は「あれあなたたちはステージで踊ってましたか?」みたいな衣装に化粧の女子が、男子に「あのー……写真一緒に撮ってもらっていいですか」とおずおずと聞かれて、女子が「いいですよー私たちこの後このままのノリでクラブに行くんですけどぉー一緒に行きますぅ?」なんていうお前ら楽しそうだな!という光景を見たりして、ステージの外でもみんなそれぞれ楽しんでいて、そういうポジティブな空気がずっとあって、きっとみんなとってもいい気持ちで帰ったと思う。そういうライブって、やっぱりいいに決まっている。遠かったけど、行って良かったな!


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