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「自分の頭の中を紙に書き出す」習慣で、夫婦仲が劇的に改善された話。

◾️夫婦はなんでも言い合える仲ではない

「夫婦という関係性を学校で教えてくれればよかったのに」結婚4年目の時に痛感した。交際当時は互いに遠慮しつつ、また楽しい時間だけを共有し、1人になりたい時はそれぞれの家に帰ればいいだけだったので、幸せだった。

また、夫婦という形の男女を「両親」しか知らないため、その両親のあり方が、そのまま自分の「夫婦像」として刷り込まれていることにも気づかなかった。

わたしの母は、自分では自覚がないだろうが「すぐ怒って、なんでも言い放つ」性質の人だ。何か気に入らないことがあると、すぐガーガー文句を言ってくる。父が何か一言言えば、ものすごい剣幕で応戦してくることが多かった。いわゆる口喧嘩だ。それでも彼女はいうのだ「私たちは仲良し夫婦なんだ」と。

そうか。あれだけボロクソ口喧嘩しても「仲良し夫婦」になれるのか。と勘違いして嫁にいったわたしだったが、見事に失敗した。フツー考えればわかりそうなもんだが「育った環境」というのはそれほどに恐ろしい刷り込みなのだ。

事あるごとに、ガミガミ言っていたら、主人は家に帰ってこなくなった。わたしの文句に黙って聞いていたから、納得して反省したのかと思いきや。

ただ、うんざりしただけだったようだ。

◾️イライラして、カッとなって文句を言っても解決しない

後から思い出したのだが、主人は「怒る人、声が無駄に大きい人」が嫌いだった。だが、そんなことも忘れて、自分の母のように、カッとなったらすぐ怒って、文句を言う。それでも「仲良し夫婦でいられる」という謎の神話を信じていたために、自分のイライラをぶつけていた。

結婚する時、いろいろな人から「言いたいことはちゃんと言い合える仲になりなさい」と言われた。その通りにしていたのに、主人が帰ってこなくなった時、言った人たちに殺意さえ芽生えた。「言ったらでてったじゃないか」と。

別に「言い合える仲」が悪いわけではない。これは間違っていない。「言い方」を誰も教えてくれなかった。それだけのことだったのだ。

「言い合える仲」だけが一人歩きして、その「言い方」までレクチャーしてくれる人には出会えなかった。それが失敗の原因だ。毎日2組に1組は離婚するって言われる世の中。「価値観の違い」とかいうけれど、みんな「言い方」はどうだったんだろう。とよく考えるようになった。

離婚する人が多いと騒ぐより、じゃあなんで学校で「夫婦のあり方」について誰も教えてくれないんだと思った。それだけじゃない。人間関係の紡ぎ方こそ、学校で最初に教えて欲しかった。理科とか、縄文時代の話とか。そんなことより大事な気がする。でも学校は教えるわけがないな。

学校は「正解」が用意されている問題にしか取り組まない。「正解」が人によって違う「個性」について考える時間はないので「家でやってくれ」って話だね。

◾️キャリア時代の習慣で、夫への「言い方」を研究した

わたしは広告代理店出身で、マーケティングや販促企画の仕事をしていた。毎月何本も企画書を書いて、クライアントにプレゼンする。という職。現在はフリーランスとなって、企画書のノウハウや添削、企画書を作成する仕事を行なっている。

その際に、資料としてはもちろんスライドソフトを使っているのだが、企画を考えるロジックの組み立ては全て手作業で、情報収集をしては、分析をし、企画の骨子を考え・・・といった経過をまっさらなA4やらA3の紙に何枚も手書きをして、構成していたことを思い出した。

自分が一瞬でも思いついた内容は全て手書きで落とし込み、一字一句自分の思いを文字にした。矢印や枠で棲み分けをしたり、道筋を立てたりしながら、ようやく企画として形が見えてくる。

そこから実際にスライドのページ数を決め、1ページごとに入れる内容も、枠を作って、そこに内容を手書きしていく。わかる時にはレイアウトまでざっくりと手書きだ。全部手書きでまとまったところで、ようやくスライドに入力していくという手順。

鉛筆でとにかく真っ黒になるまで文字に落とし込んでいき、企画として成立し、スライドに打ち込もうとなるところまでをだいたい24時間かかる作業としたら、10ページのスライドに落とすのは、せいぜい2〜3時間というところだろう。それくらい手書きの時間が長い。

しかし、この手書き時間がすごく重要。自分の思考というのは、泡のようなものだ。思いついてもすぐ消えていくので「あれ?さっき、何を思ったんだっけ」っていうのがすごい多い。また、企画アイディアの手法が先に思いついても、それをクライアントに納得してもらえるためのロジックが組み立てられないと、絵に描いた餅になってしまう。

手法が先に浮かんでしまうことは厄介で「もうこれ、最高のアイディア!」と思ってしまうと、冷静な判断ができない。本当に価値はあるのか?無理な企画ではないか?ニーズはあるか?など、多角的な視野が急激に狭まるのだ。そういう時に、アイディアをまず紙に書いてみる。そして、逆方向でそのロジックを突き詰めていくと、どうにもニーズが合わなくなることも多い。「この企画、面白いけどニーズはないな」という判断で、違う方向性に舵を切り直せるのだ。

そう。主人に何かものを申したい時も同じだ。独りよがりで思いつくままにギャーギャーいっても、心には刺さらない。だったら、最も効果のある言葉と自分の考えを冷静に分析した上で、丁寧に伝えなければならなかったのだ。それを頭の中でできないのなら、徹底的に「手書き」で組み立ててから喋ろうと決めた。

◾️主人の言葉に「なぜイライラするか」手書きで分析する

これは実際にわたしが主人に「掃除機かけてないの?何やってたの?」と言われてイラついた時のアウトプットまでの思考を手書きしたもの。(もっと汚かったので、さっき転機しました)

1:主人の言葉。イラついた言葉・喧嘩勃発しそうな言動を書き留める

2:瞬時に応戦する時にでてきそうなわたしの言葉。いつもなら絶対言い返す言葉をここに書き留めておく。書くだけで少しだけ気持ちが落ち着くこともある。

3:わたしが言おうとした理由を自分で説明する。ここでは、赤子だった子供たちの世話で、夜泣きがあったり、いきなり嘔吐したり、怪我したりするので、毎日何が起きるか予測できなかった。その上で疲れてうとうとしていることがあったことを説明。

4:【重要】主人にいうべき言葉。言いたかった「自分で掃除機かけろよ!」はきちんと伝える。ただし言い方。相手も仕事で疲れていることを考慮することが大前提。自分ができる最大は「明日掃除機かけるね」と「もし気になるようだったら、軽くでもかけてくれると助かるよ」とやんわりと伝える。

5:【重要】夫の言葉を予測して数パターン用意する。相手によって返答パターンは違う。うちの場合は「いいよ、俺やるよ」か「明日やりなよ」だった。実際に主人が言ったのは「いいよ、俺やるよ」でした。

6:【重要】各返答例を明記しておく。その時に必ず添えたいのが「ごめんね」と「ありがとう」。夫の言葉に「嬉しかった」とか「悲しかった」など自分の感情を添えること。それが今後の夫婦の会話の指標になる。「こう言ったら妻は喜ぶ」「悲しむ」となれば、相当な憎しみがないかぎり、悲しむ言葉を控えていき、喜ぶことを増やしていく。

◾️これで、我が家は劇的に変化した

最初はこのアウトプットが面倒だった。イラッとしたとき、一旦その場で「わかった、ごめん」だけ伝えて引っ込んで。あとから紙に猛烈に書きなぐった。ソッコー言いたいのに!!と。

でも書いていくうちに「あぁ、これを言えば伝わるかな」とか「わたし、こうして欲しかったんだな」と自分の要望にも気づく。イラッとしたときは、大概わたし自身に余裕がないとき。少し疲れているとき。さみしいとき。

イライラが募っていたマックスの時期は、子育てを1人でこなして、主人はなかなか家にいなくて、話し相手もいなくて寂しかった。その寂しさがイライラになったとあとからわかった。

面倒でも、この紙に頭の中を書き出して、読み返して、丁寧に伝えていくことで、わたしは自然と「ギャーギャー文句」をやめた。そのうち、主人に要望が伝わるようになって、わたしの「嬉しい」を彼がインプットしてくれた。

今では、特に何も言わなくても「わたしが喜ぶ行動」を率先してやってくれるので、わたしはニコニコと「ありがとう!嬉しい!」と言うだけだ。

そして、さらに変化といえば、主人が転職したことだった。毎晩終電で帰ってきて、家にも寄り付かなかった時もあった。子供が騒ぐと舌打ちしてキレていた人だったのが、今ではすっかり夜9時には家に帰り、わたしの作ったご飯を食べて、子供たちの話を聞き、数年前の写真と比較しては目を細めている。

主人もまた、わたしのイライラした出で立ちに悲しかったんだと思う。もちろん今でも頭の中を書き出す作業は続けている。主人にイラッとする言動は、無数だからね。そして、子供が大きくなってきて、子供の言動にもイラッとする。そんなときは、自分がなぜイライラしたのか、書き出し、どんな言い方が刺さるのか、通りやすいのか、考えながら、話をしていくことにしている。

◾️SNSにグチったって炎上するだけ

SNSで一言ぽろっと呟くのは本当に簡単。手で書くよりも早くスマホで打ち込めばいいし。でもツイートした言葉は、必ず共感だけにはならない。「お前が悪い」とか相手の立場にいる人から、呟かれたら、あっという間にストレスがたまる。芸能人がいい例だ。ちょっと愚痴るとすぐ炎上する。結局本人に言わなくても、ネットに呟けば同じこと。本当に大事なのは「どうしてイライラしてしまったのか」「本当はどうして欲しかったのか」自分で思考を整理して、相手への伝え方を考えることだ。

グチったSNSで炎上したりするから、どんどんネットの世界が狭まっていく。わかって欲しい人だけわかればいい、というサロンの存在がすごくわかりやすい。そのうちTwitterで戦争でも始まりやしないかすら思う。

◾️マザー・テレサの言葉も実現できる

”世界平和のために出来ることですか?家に帰って家族を愛しなさい。”

有名なマザー・テレサの言葉。世界最小の集合体は「家族」。ここでみんなが愛し合い幸せになれば、戦いなんて起きないっていう話。わたしは本気で、この言葉のアウトプットをすることで、家族に愛を取り戻せると思っている。世界平和もなんのこっちゃない。

夫婦が幸せになれば、家族は明るくなるし。夫婦を見た子供達も幸せになる。その子供らが結婚する時、やっぱり「夫婦のあり方」は自分の親と一緒になる。自分の伝えたいことをしっかり伝えることは大切。ただし、言い方を間違えないことがもっと大切。相手への思いやりを持って伝えるには、まず自分の頭の中をしっかり整理して、本当に大切な言葉を見いだすことが肝要だとわたしは思う。


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自己紹介

自分の頭の中を紙に書き出す整理習慣が「自分の幸せ」を引き出す手法の1つとして広めたいです。わたしがそれで幸せになったので、メソッドを作りたいと計画中です。