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穏やかに人生を終えたい夫は、妻をもっと大事にした方がいい

先日、TwitterのTLにこんなツイートが流れてきた。

今どきの若い人でこんなことを言うヤツがまだいるのか!と驚いたものの、私が若いころは割と当たり前にあった出来事だった。そして、多くの妻が夫の暴言に耐えていた……と言うよりは、まともに相手にするのをやめて右から左に聞き流してなんとかやり過ごしてきたのだ。

かくして、その結果訪れるのが貧困覚悟の妻からの三行半、あるいは下にリンクを貼った記事のようなケースだ。

妻が羽生弓弦の「追っかけ」になった夫の苦悩~いったいいくら使うのか…

私から見れば、夫が妻を蔑ろにし続けた結果、報いが返ってきたのだ。

その証拠に、妻はこう言っている。

夫には与えてもらえなかった幸福を、ユヅルが与えてくれる。

そう。夫がもっと妻を幸せにしていれば、「ユヅル」の出る幕などなかったのだ。もはや、夫の悩みは自業自得以外の何物でもない。

この夫婦の場合は妻が「ユヅル」でガス抜きをすることで保っているが、この調子ではお金が尽きて夫婦ともに老後破産に陥る恐れもある。

そうなれば妻はお金のない夫など無用になるから、同じ貧困生活なら一人のほうがましと夫に三行半を突き付けるかもしれない。

妻に去られても金銭的には余裕がある夫は多いが、実は浪費妻が去ってかえって安泰……とはいかない事情がある。

妻を粗末に扱ったり、モラハラで妻の人格を傷つける夫ほど、実は妻に心理的にどっぷり依存している。なぜなら、そのようなターゲットがいるからこそ、本人の精神的安定が保たれているからだ。そして、そのターゲット=精神安定剤となりうる人物がいなくなり、一気に孤独に陥る可能性も高い。

年配世代に多いモラハラ夫はこう思っている節がある。

「妻だから何を言っても離れていかない」

「経済的に自分に依存する状態にしておけばおとなしく言うことを聞くだろう」

そういう夫の中には社会的地位が高い人も多く、在職中は何かにつけてその人の周りに人が集まっていることも多い。だから強気でもいられるのだろう。

しかし、どんなに社会的地位が高くなった人でも、仕事を辞めれば「終わった人」。親も亡くなり頼れるものは妻子しかいなくなるのが普通だ。しかし、そんな夫や父を誰が親身に思い支えるだろう。妻子と一緒に住んでいてもその妻子に疎まれているのが現実ではないだろうか。

また、個人的な付き合いがある他人はいるかもしれないが、いざ倒れたり体が不自由になった時に面倒を見てくれる人などいない。もしいればそれは間違いなく本人ではなくお金が目当てだ。

そもそも、私が知る限り、仕事と家庭で態度が違うモラハラ男は仕事以外のつながりが希薄な人が多い。仕事というよりどころをなくせばなにも残らない空っぽな人間も多く、定年後は家族に疎まれて家に居づらくなり、暇さえあればあたりをふらついている。そうやって暇を持て余すしかない寂しい人になってしまうのだ。

とどのつまり、老齢期は妻子が夫の生死を握ることになるといっても過言ではない。その時、夫と妻の立場は逆転し、父が母を蔑ろにしていた姿を見てきた子供は、往々にして母親の味方となる。

女だって馬鹿じゃない。それに、年を取って図々しくもなる。いつまでもおとなしく黙っているほどヤワでもない。

特に母親となった人はただでさえ生死の境をさまよう出産を乗り越えている。本当に窮地に陥った時になんとしても生きていくという気概があり、優れたコミュニケーション能力で苦境を乗り切れるのはたいてい女だ。

だから熟年離婚で困窮してもサバサバと元気な人がおおいのではないだろうか。

一方、そういうとき男は意外と弱くだらしない。老齢期のセルフネグレクトや孤独死は圧倒的に男が多いのもうなずける。

夫に蔑ろにされた妻は一見おとなしいかもしれない。しかし腹の中には夫への怒りという名のマグマがブクブクと煮えたぎり、いつ爆発するかわからない状況になっていてもおかしくはない。

それは熟年離婚という形で出るかもしれないし、要介護となった夫や義親への非人間的な対応という形で現れるかもしれない。

例えば、近い関係のケースでは夫や姑に苛め抜かれた妻が鬼になり、病気で苦しむ夫や姑を病院にも連れて行かずに放置した。その結果ガンを悪化させて死に至らしめたが、その後妻はかえって明るくなり、楽しそうに余生を過ごしている。

夫や姑は外ではとても感じのよい人だった。しかし時折聞こえてくる夫の怒鳴り声や妻の疲れ切った様子から、夫と姑がひどい人かもしれないと、みんなうすうす気づいてもいた。

だから、お葬式に時にはむしろ妻に同情の声が集まり、「仕方ないね。自業自得だよ」という声が上がったものだ。

モラハラ夫や妻を大事にしない世の夫を見ていると、自分の末路がそうなるかもしれないとなぜ予測できないのだろう? と思う。もし妻が夫のサンドバッグのままでいると思ったら大間違いだ。

一見従順にしている人ほど復讐心を募らせているものだ。「いつか仕返ししてやる」という気持ちをモチベーションにしていなければ、そんな夫を早々に見切り、さっさと離婚するだろう。

どちらにしても、妻を大事にしない夫にいいことなどないのだ。

しかし、老齢期に夫がそのような憂き目に遭わない方法はある。それは、今シニアであったとしてもすぐに考えを改め、妻をもっと大事にすることだ。

ひどい夫でも、長年連れ添えばある程度の情が生まれる。また、貧困覚悟の熟年離婚は、特にこれまで専業主婦やパートだった妻自身にとっても危険な賭けとなる。

もっと言えば、夫が会社員なら、夫の死後質素に暮らせばなんとかなる程度の遺族年金も出るから、我慢ができる範疇ならやり過ごす方が得ではある。

熟年夫婦の妻である私が言う。妻が突然何かの追っかけを始めたり、急に仕事などに熱中し始めたら、それは熟年離婚、あるいは妻のひどい復讐が始まる序章だと考えていい。

その時こそ夫はこれまで妻にしてきた数々の狼藉について心から反省し、老後もずっと良い関係で連れ添っていられるように努力するべきだと思う。でないと、そのような夫の末路は悲惨であろう。

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