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自分以外の誰かのために動くことの難しさ

元々、無償で何かやだれかのために動くのが苦にならない性分だ。

だから交通費も出ないイベントボランティアを長年続けているし、過去にも地域活動やPTAなどのボランティアで、数々の面倒な役割を引き受けてきた。

そんな私を、よく言えば「面倒見がいい」、悪く言えば「おせっかい」と評する人も多い。

しかし、少し前からそんな自分に疑問を持つようになった。そして、自分以外の誰かのために動くことの難しさを痛感している。

私自身はあまり周囲から面倒をみてもらいたくない方だ。非常に勝手な言い分だが、干渉されていると思うことすらある。

長子として育ったせいか、あまり人に頼れる性分ではない。普段から誰かに何かやってもらうつもりがなく、できる限り自分の中で解決しようとする気持ちが非常に強い。

だから大変申し訳ないが、程度によっては放っておいてほしいと思うことも多い。もちろん、相手の優しい気持ちに感謝はしており、それを嫌だと思う自分に罪悪感はあるが。

そのことに気づいた時、「もしかして私が相手のために動いていることが、実は相手にとってはすごく迷惑なのでは?」ということにも初めて気づいた。

思えば、過去にそのようなできごとは何回もあった。

よかれと思って行ったことで、相手から芳しいリアクションがなかった

誰かのために動いたら、まさにその相手に迷惑な顔をされた

人づてに「あの人はおせっかいだ」と悪口を言われていたことを知った

面と向かって「好きでやってるんでしょ!」と言い放たれた

1度や2度ではなく、何度もこのようなリアクションが返ってきた。

そのたびに自分を全否定された気持ちになり、悲しく悔しい思いをしたものだ。

しかし割と最近、自分が誰かにそのような行いをされたとき、表面ではにこやかに接し、だれにも言わずともムカムカした気持ちを抱えたことを思い出したのだ。

「私が至らないから必要以上に面倒を見たがるのだろうか?」

「そんなに私は頼りない風に見えるのだろうか?」

「今それを求めてはいないんだけど」

「自分でなんとかしようと思っているから、今手を出さないで!」

なんとまあ、自分で書いていてもなんと身勝手なことか。人の親切を仇で返す典型例じゃないか。これでは人のことを言えない(笑)。

しかし、もとから誰かに頼れる性分ではないせいか、助けてもらうことにも慣れていない。だから必要以上に手を差し伸べられると戸惑い、どうすればいいかわからないのだ。

そのことに気づいて以来、私は誰かのために動きたいと思った時、それを相手がどう思うか?を考え、相手の意志を確認しながら行動に移すかどうかを慎重に考えることにしている。

もう一つ、私が人のために動くのを自粛した理由がある。過度に依存してくる人や、こちらの親切心を悪用する人の存在だ。どちらかと言えば、こちらの理由が大きいかもしれない。

いくら人のために動くのが苦にならないと言っても、私にできることは限られている。必要以上に依存されたり利用されたりすればこちらが困る。

過度に依存されれば重い負担になり、自分の生活に悪影響を及ぼしかねない。また、こちらの気持ちを悪用されれば腹が立つもんなんてものではなく、相手を激しく憎む気持ちにすらなることだってある。

元々が自己満足で親切している部分があるので、菩薩のように広い心で相手の全てを受け入れられるほど寛容ではない。あくまでも自己満足で済む範囲でなければ無理。それ以上の援助などできない。

これまた非常に勝手な言い分だが、1人の力なんてそれほど大きくない。己を過信して困っている誰かに手を差し伸べた結果、共倒れになる可能性だってあるのだ。

そのことにも気づいた時、「相手を最後まで支えきれないなら、下手な手助けはかえってその人の妨げになる場合がある」と、今さらながら思った。

以来、困った人や困った状況を見ても、「この相手を一生援助する覚悟があるのか?」と自問自答を重ねつつ、冷たいと言われても一定の距離を置いて人や物事に向き合うようにした。

それは他人に対してだけではなく、身内に対しても全く同じだ。いや、身内だからこそ、共倒れにならぬためにも一線を引いている

おかげで親には「あんたは情がない」と言われるがしょうがない。私に余裕がない状況で、どうして家族や親兄弟を助けられようか。誰に何と言われてもそのための余力を死守しなければ、最後まで責任もって面倒を見られない。

そんなわけで、最近は誰かのために動くことに大変慎重になっている。最後まで責任もって相手の力になれるどうかを測り、難しそうなら必要以上に手助けしない勇気も必要だと思う。

各地で災害が起こった時、本来なら何かアクションを起こすべきなのだろう。でも、自分にそれが求められているとは思えない場面も多い。

だから知り合いに被災者がいれば、少し状況が落ち着いた頃に連絡を取り、直接必要なことを言ってもらうようにしたい。仮に「何もしなくていい」と言われればそこで引き、相手が改めて何かを求めてきた時にできる範囲のことをするのが一番だと思っている。

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