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HSP(敏感すぎる人)の話

先日古本屋で『敏感すぎて困っている自分の対処法』というタイトルに惹かれ、ぱらぱらとページをめくってみました。

それはいわゆる「HSP(High Sensitive Person)」、つまり「感受性が強すぎる人」についての内容でした、読み進めるうちに自分のこれまでの人生で感じていたある種の生きづらさと符合する記述が余りにも多すぎて、「これは私の事だ!」と叫び出しそうになるのを抑えるのがやっとなくらいに衝撃的な内容でしたので、思わずその場で最後まで一気に斜め読みしてしまいました。

HSPには以下のような特徴があります。チェックリスト形式になっているので、思い当たる人はぜひ試してみて下さい。

HSPチェックリスト

1.自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
2.他人の気分に左右される
3.痛みにとても敏感である
4.忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
5.カフェインに敏感に反応する
6.明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
7.豊かな想像力を持ち、空想に耽(ふけ)りやすい
8.騒音に悩まされやすい
9.美術や音楽に深く心動かされる
10.とても良心的である
11.すぐにびっくりする(仰天する)
12.短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
13.人が何かで不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく (たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)
14.一度にたくさんのことを頼まれるがイヤだ
15.ミスをしたり、物を忘れたりしないようにいつも気をつける
16.暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
17.あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり、神経が高ぶる
18.空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
19.生活に変化があると混乱する
20.デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
21.動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
22.仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
23.子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」 とか 「内気だ」 と思っていた

引用:HSPとは?敏感、繊細で感受性が高い人は自己診断してみよう

チェックした皆さんはいくつあてはまりましたか?
私の場合、19項目も当てはまってしまい、HSPの傾向がかなり高いとわかりました。と同時に、それまで自分がなぜそんなに敏感に物事を感じとってしまうのかがわからなかったのですが、その本を読み終わった時点でそれまでの疑問がほとんど全て解けてまさに「腑に落ちた」という感じでした。

特に共感したのが

「敏感すぎない普通の人は相手の負の感情に対して鎧をまとって防御できるが、HSPの人はビニールシートのような薄いものでしか防御できないため、深く傷ついてしまう事が多い」

という記述と同じページに書かれていたHSPの人の辛い体験談でした。それはまさに自分の辛い経験と重なるものだったため、不覚にも思わず涙がこぼれてしまうほど共感してしまいました。

既におわかりかと思いますが、私は「敏感に空気を読みすぎて疲弊してしまう」タイプの人間です。その場の雰囲気や相手の表情を読み取りそれに合わせた対応ができるため割と友好的な人間関係を構築しやすいというメリットもありますが、その反面邪心や悪意などの相手の負の感情を無意識のうちにもろに受けとってしまう部分もあるものですから、そういう負の感情を持った相手とはちょっと話しているだけで心身ともに消耗し、心底疲れ果ててぐったりしてしまうのです。

幼い頃から無意識に友人知人の顔色を見て異常なまでに気を遣うところがあった反面、突然何もかもが嫌になって人間関係を全部投げ出すような極端な部分がありました。また、大きくなってからは誰かが困っていると放っておけないと深入りしすぎてかえって相手に迷惑をかけてしまったり、それを逆手に取られて利用されることも1度や2度ではありませんでした。ですから、表向きは大変友好的な人間関係を構築しながらも、内心ではいつも人間関係に疲弊し続ける人生を過ごしていたような気がします。

そんな中偶然古本屋で手に取った本にそんな私の長年の悩みと疑問の答えが全て載っていました。そこに書かれている様々な事、特に実際に敏感すぎるキャラクターを持つ人の数多くの生の体験談から私と同様に悩んでいる人が思いのほかたくさんいる事を知り、ある種の連帯感と心強さを覚えつつどこか救われた思いがしました。

「敏感すぎる人=HSP」は病気や障害ではなく多くの人が持つ「特性」の一つです。そのHSPに該当するような敏感すぎる人の存在は昔から認知されていたものの精神障害の一種と誤診される事も多く、病気でもないのに病院で薬を処方されたりすることも珍しいことではなかったそうです。

けれども最近それに関する研究が進むにつれ、敏感すぎるが故の生きづらさへのさまざまな対処法や適職などがわかってきています。もちろんそれで悩みが解決するわけではないのですが、そのような具体的な対処法が世に出てきているという事実を知ることができただけでも精神的にどこか楽な気持ちになったことは確かです。

敏感すぎるキャラクターは確かに生きづらいですが異常ではありません。自分の敏感さと正面から向き合ってその特性を理解していれば生きづらさを感じるような場面でも必要以上に傷つくことなく他者の負の感情などの禍を事前に回避する手立てを講じる事ができるのではないかと感じています。そう考えるとずっと重い雲が立ち込めていたかのように塞いでいた心に晴れ間が差し込んだような気がします。


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