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[コラム] イギリスの壮大なパンクバンド『ザ・クラッシュ』のおススメ曲

今日は『The Clash(ザ・クラッシュ)』の私的おススメ曲をまとめてみたいと思う。

ザ・クラッシュとは、1976~86年にかけて活動していたイギリスのパンクバンドである。
いや、パンクバンドという枠には収まりきらない壮大なバンドである。

んなことは知っとる、という人もいれば、全く知らんという人もいるであろう。

ザ・クラッシュの曲を紹介するにあたって、まずはパンクについてちょびっと基礎知識を書いておきたいと思う。
そもそもパンクロックって何? という人もいるかなと思って。

◎パンクロックとは何?

いや知ってるし…という人は読み飛ばして欲しい。

パンクロックは、ニューヨーク発祥の音楽でイギリスでも社会現象を起こすほどのブームを巻き起こした。
ザ・クラッシュはそんなイギリスでのブームを牽引したバンドの一つである。

パンクロックの特徴としては、テンポが速く攻撃的でありながら非常に簡潔な構造のロックで、曲の長さも2分とか3分とか短かったり、とか。
「こういう音楽がパンク」という定期は明確にはないけれど、反体制的なメッセージを持っている場合が多い。

好きなバンドが政治的発言をしてがっかりしましたとか言う奴、時々いるけど、大音量でパンク聞かせたろうかと思う。

◎イギリスの三大パンクバンドは…

ザ・クラッシュと同時期にヒットしたパンクバンドとして、セックス・ピストルズダムドがいる。

セックス・ピストルズは今でいうアパレルから派生したバンドで、ファッションとしての “パンク” にも多大な影響を与えたバンドである。
曲もそうだが存在自体がパンクの代名詞のようなバンドなのだ。派手なパフォーマンスのプロモーションやってつかまったり、スキャンダラスで破滅型。

一方のダムドは政治的メッセージはそんなに強くないという印象だな。
ボーカルがドラキュラみたいな恰好をしてるので、なんかゴスっぽいイメージがあるけど、曲は結構はげしい。

で、ザ・クラッシュは、初期は乾いた感じのロックでザ・パンクなんだけど、だんだんといろいろな音楽の要素が混じって来て、曲がウエッティーになっていき、後半はめちゃダブになっていく。

ダブというのは、すごく雑に説明すると、ディレイ(エコー)がかかりまくったレゲェ…と言っておこう。
聞いたらわかるよ!

◎現代人の心にもパンク魂を!!!

今回、私が何故、ザ・クラッシュのおススメ曲の記事でパンクのことも書こうと思ったかというと、現代の日本の社会にはパンク魂が著しく不足していると感じてしまったからなのである。

「弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたく」

これはブルーハーツの名曲の一節なんだけど、今の世の中はこれじゃないの?

いい子ぶって。偽りの正義を振りかざして、誰か叩ける人を探している。

これは全くもってパンクではない。

全くもってパンクではないと私は思うんだよ。

私自身もそうだ。なんか善良な市民ぶっている自分を急に客観視してしまうことがあって、私何やってるんだろう…って思う時がある。

いや、悪いことしろって言ってるんじゃないんだよ。
我が反骨精神はどこいった? って感じなの。

そういう時は、パンクロックを聞くんだ。

戦う相手は誰だっけ? って思い出すんだ。

で、なんでザ・クラッシュなのかというと、歌詞の内容がすごくパンクだなって思うからかな。そして曲の振り幅がとても広くて面白いからである。
あと単純に好きというだけかもしれない。

ここで並べる曲はできるだけ年代順にするので、聞いて行くと、最初はパンクロックだけど、どんどんいろいろな音楽を取り入れていくのがわかるよ。

では前置きが長くなったけど、私のおススメを並べてみようと思う。


◎『Janie Jones』

ザ・クラッシュのファーストアルバムの一発目の曲。

この曲のリードボーカルをしてるジョー・ストラマーの唾がたまってるような声が私はすごく好き。

タイトルになっているジェニー・ジョーンズは、70年代のイギリスの歌手で、自宅でセックスパーティーを開いて逮捕されたり、公共のイベントにトップレスのドレスを着て登場したりと、かなり破天荒な人。

そんな彼女に心打たれたジョー・ストラマーがこの曲を作ったそうな。

歌詞の内容は、退屈な役所仕事をしてる男がストレスをため込んで、なんかやばい感じになっている歌である。
「彼はジェニー・ジョーンズに恋している」自分と対極にあるものに憧れてる感じ。


◎『White Riot』

ザ・パンクって感じの曲だよね。
日本語では『白い暴動』と訳される。

この曲は、1976年にカリブ系移民のお祭りで勃発した暴動を目の当たりにして書かれた曲。
人種差別に立ち向かっていく黒人たちを称賛し、俺たち白人はチキンだ、俺も戦いたい、と歌っている。
これが逆に人種戦争を呼び掛けていると誤解されて物議をかもしたりした。


◎『Hate & War』

この曲でリード・ボーカルをしているのがミック・ジョーンズ。
途中で出て来るジョー・ストラマーのどんどん近寄って来る感じの「Hate! Hate! Hate!…」が怖くてよい。

タイトルは “LOVE & PEACE” の反対語である。
この曲がリリースされたのはベトナム戦争終結後まもなく。

もしも侵略されたのならば
二倍にして返してやる
毎日が同じだ
憎しみと戦争を背負って


◎『London's Burning』

なんか可愛い曲だけど、現代社会に飽き飽きした若者が夜の街をぶっ飛ばしてる感じ。
家の中でぼーっとテレビを見ている奴らに「ロンドンが燃えてるぞ~ぎゃはは~」と言って回っている。

この歌、現代の日本のティーンズたちにも響くんじゃないかな…。


◎『I Fought the Law』

アメリカのバンド ザ・クリケッツの曲のカバー。
もしも法律に負けることがあったら、この曲を大声で歌おう。

クラッシュバージョン最高なのである。

真島昌利もカバーしてるよ。


◎『Pressure Drop』

ジャマイカのバンド ザ・メイタルズの曲のカバー。
原曲も名曲だけど、クラッシュバージョンもとてもよい。

おまえ、おまえだよ。
自業自得だ。

因果応報を歌っている。

↓原曲


◎『Capital Radio』

ヒットソングばかり流しているコマーシャル・ラジオ局の方針に対する攻撃である…と歌っている。
クラッシュの曲でどの曲が一番好きかと聞かれたらこれを挙げるかもしれない。

この曲には『Capital Radio Two』という別テイクがあって、そっちの方が音が良くて好きなんだけど、公式の音源がYoutubeになかった。
「Two」は、最初のEPが激レアになって高額取引されてることをバンドが知ったために作られた。


◎『London Calling』

タイトルは第二次世界大戦中にBBCが占領地に向けて「こちらロンドン」と呼び掛けていたことにちなむ。
不穏なコード進行が印象的。

『こちらロンドン 戦争が始まった』
『ビートルズ熱は収まった』
『メルトダウンが起きそうだ』(スリーマイル島原発事故)
『ロンドンは水没寸前』(テムズ川の氾濫の噂)

歌詞の内容が攻めいている。
最後のモースル信号は「SOS」


◎『Brand New Cadillac』

これは古いロカビリーナンバーのカバー。
ひたすらかっこよい。

ドライブで聞いて欲しい。


◎『Rudie Can't Fail』

スカっぽい楽しい曲だな。
『ルーディ』というのはジャマイカのスラングで不良少年のこと。
“Can't Fail” は「しくじるな」って感じかな。

この曲は『ルード・ボーイ』というザ・クラッシュ本人たちが出演してるドキュメンタリー映画の主題歌だったけど、メンバーたちはこの映画にがっかりしたそうな。
ポルノショップの店員をしていたルーディがクラッシュのローディーになる話らしいけど私観てない。


◎『The Guns of Brixton』

だいぶダブっぽい。
これは犯罪に手を染めるミュージシャンを描いたジャマイカの映画が元になっている曲で、この曲を書いたベースのポール・シムノンの故郷のブリクストンに舞台を移した情景を歌っている。

歌もポール・シムノンですごくよい。


◎『Wrong 'Em Boyo』

カバー曲らしいのだけど、元曲がわからん。
誰か知ってたら教えて。

出だしの曲調から変化して、いきなり陽気なスカナンバーになるのが楽しい。


◎『The Card Cheat』

なんか爽やかな曲調だけど、いかさまカード師の歌です。。。
チートの曲。


◎『Revolution Rock』

ジャマイカのレゲェのカバー。
なんか私、クラッシュからレゲェを教えてもらった気がするな。


◎『Train in Vain』

「stand by me」のフレーズが印象に残る曲だけど、タイトルは「むなしい電車」。
これは失恋の歌っぽい歌詞なんだけど、電車はまるで関係ない。
リズムが電車っぽいかららしいけど、なんかテキトーでよいw


◎『The Magnificent Seven』

5分以上あるダブっぽい長い曲なんだけど、ずっと同じベースラインというすごい曲。
インストと思いきや、いきなりラップだし。
実はいろりろ初の試みをやってて歴史に残るすごい曲なのだ。
歌詞の内容は、安月給のサラリーマンの歌で、社会をディスってる。

↓この曲のリミックス版『The Magnificent Dance』がこちら。
インストにアレンジされてる。こっちも鬼かっこい。


◎『One More Dub』

同アルバムに収録の「ワン・モア・タイム」のダブバージョン。
ぜひ寝る前に聞いてほしい。変な夢みるから。


◎『The Call Up』

私的にすごくクラッシュっぽい曲って感じ。

兵役を拒否するような内容の歌詞。

育てられたように振る舞うな
呼びかけに応じないのはお前次第
俺は殺したくない!


◎『Lose This Skin』

ジョー・ストラマーの旧友であるタイモン・ドッグの曲。
ヴァイオリンと歌、めちゃかっこよい。

俺は囚われてる。皮を脱ぎ捨てないと。

といった意味かな。


◎『Silicone on Sapphire』

同アルバム収録曲のダブバージョンなんだけど、めちゃ宇宙。


◎『Know Your Rights』

お前の権利を知れ。
殺人は犯罪だ。
ただし警察や貴族によるものを除く。

お前の権利を知れ。
食費を受け取る権利がある。
検査や屈辱を気にしなければ提供される。
断ればリハビリだ。

みたいなことを、このワンコードで延々と言ってて緊迫感のある曲。


◎『Should I Stay or Should I Go?』

残るか行くか…という歌詞で、クビ間近のミック・ジョーンズの心境を歌っているようでありながら、実は単に男女の別れ際のことを歌ってるらしい。
※この歌を歌っている初期メンバーでリードボーカルも務めていたミック・ジョーンズは途中でクラッシュ解雇される。


◎『Rock the Casbah』

これは名曲だ。ロックが禁止されている国に対して寓話的な語口で「カスパを動かせ」と歌っている。
カスパというのはイスラム都市の支配層の要塞のことらしい。

このような歌詞から湾岸戦争の時に米軍の非公式テーマソングになってしまい、それを知ったジョー・ストラマーは涙したと言う。
そうじゃないんだよ。爆撃するよりロックしようって言ってるんだ。

↓これのリミックス版


今日はここまで~。
疲れた~。

この中からあなたが好きな曲と出会えたら私は嬉しい☆

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