『ミュシャ』2019.10.07



再考する星の群れに捧ぐその細い金髪が、彼女の頬を撫でた。蒼い空を渡る夕暮のときめき、会いたいと願う。いまはまだこの記憶を救われたあの瞬間に隠して。一生辛いままだと、泣いていた頃の悲しみが体温を持って、息を吸い始めた感動を文字の中に、閉じ込めた。胸が痛くなるほど美しい、郷愁の感覚。儚い花弁がノートに留められる。生きている感覚に、混ざりかけた溜息を吹き消した。肺が酸素を求める柔らかさ、美しい夕暮に染まるような。手を繋ぐことを恐れるのはもう、違うと踊るように、泉に浮かぶ夕陽に届きますように。明るい夜へ繋がる、シャツの裾と優しい風を一人では感じたくないから。星の王冠をつけた金髪の、白い裾が染まっていく。蒼の夜の空が夕暮に、手を繋いで過ごしたい、この世界を大好きなあなたと。好きだと思う鼓動の速さを忘れないように、悲しみを吹き消す繋がり。ピアノの音が、風にのって。響かない硬い心にまで届きますように、淡い香りを忘れないからこの世界は。いつまでも染まる、色、色、愛しいと思い続けることは、生き続けることだと思うから。誰よりも強く想い続けられたら、空が蒼に染まるまで、夕暮の香りが身体を抱きしめてくれる。風が吹く、生きると決める。星の群れ、再考する。美しい空と手を繋ぐ蒼、金色の髪で手を伸ばす。



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