『犬愛好家、猫の恐怖にショック死か』7.22

 東京都足立区で、SNSで人気の犬愛好家、山田国太郎さん(25歳、仮名)が原因不明の死体で発見された事件で、猫野つーこさん(10歳)が殺人未遂容疑で逮捕された。
 捜査関係者によると、飼い主への取材により、つーこさんが事件当日の深夜に職場である自宅から脱走していたことがわかった。背中の柄と尻尾の長さが一致しており、山田さん宅の防犯カメラに写った猫はつーこさんである可能性が高いという。肉球紋も一致している。
 カメラの映像で、つーこさんは就寝中の山田さんの喉元に乗って寝ている。山田さんは酷くうなされており、「おもい。あつい。液体なのか固体なのかわからない。こわい」という寝言を繰り返していた。検死の結果、山田さんはショック死の可能性が高いとされており、つーこさんに対する恐怖が事件を引き起こしたとして、警視庁は捜査を進めている。
 専門家によると、これまでにも猫が犬愛好家に対し、身体の柔らかさで恐怖を与えたケースはあるという。長年にわたり「猫は液体である」という仮説の研究が続けられているが、結論は出ていない。その曖昧さに怯える人は多い。
 山田さんは幼い頃、友人宅の猫に恐怖を覚えたことから、自分を含めた犬愛好家たちの猫への恐怖を克服させてほしいとして、研究に出資していた。
 専門家は以下のように語る。
「山田さんは我々の研究に高額の出資をしてくださっていました。これまでの研究では、猫は同サイズの犬と比べ、脂肪が多く骨の可動域が広いために柔らかい、つまり固体であるという説が有力でしたが、我々の研究所では『猫は一定の条件で液体に変わる』という仮説を強く支持しておりました。山田さんの出資により最先端の技術での研究が可能になり、研究に参加してくださった猫野つーこさんの脂肪部分の流動的な動きを3Dモデル化することに成功したのですが、まだ液体になる瞬間を捉えることは出来ておりません。今後はつーこさんの3Dモデルを元に24時間体制で演算し、液体になるパターンを導き出す予定だったのですが、山田さんがいなくなってしまっては不可能です。今回の事件は犬愛好家の方々の、猫への恐怖を助長してしまうでしょう。猫は本来やさしい動物です。恐怖を一刻も早く減らすべく、我々は心を鬼にして、新しい援助者を探さざるを得ません」
 猫が恐怖で、犬愛好家を死亡までさせてしまった先例はこれまでにない。つーこさんも友好的な姿勢で犬愛好家たちと関わっており、悪意は一切ないと主張している。
 警視庁は「このような悲しい事件が二度と起きてはならない」として、専門家に協力を求めている。専門家たちは今後は方向を転換し、「犬が硬すぎる可能性」を追っていくという。


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