暗黒の行方

 どうも最近欧米では「ダーク」な言論ネットワークが勢力を拡大しているようです。こちらの記事ではリベラル的価値観を掘り崩す「科学的」エビデンスを突きつけてくるような知的ネットワーク「インテレクチュアル・ダーク・ウェブ(I. D. W.)」について書かれています。彼らの中には「右」も「左」もいますが、共通して所謂「ポリティカル・コレクトネス」と相いれない存在であり、それゆえアカデミアやマスメディアの主流から離れざるをえなかった勢力ということのようです。

 彼らはどこへ向かおうとしているのでしょう。I. D. W.には様々な思想が同居しているようなので一概には言えないでしょうが、既存のリベラルが拠って立つ価値観を攻撃する以上彼らと向かう先は異なると思われます。「右」に関してはなんとなく想像がつく――保守的・反動的な方向へ向かう――のでしょうが、「左」はちょっと想像ができません(I. D. W.内の思想について詳しくはないのですが)。

 勝手な想像ですが、もしかしたら、これまでのリベラル的価値観を疑うようになった左派は「諦め」を抱くようになるのかもしれません。左派というのが何らかの理想、自由であったり平等であったり、を抱いているとするなら、これまでの主流の左派はその実現の前提としてそれが可能であると信じていたわけですが、その前提を疑うようになった「暗黒の左派」は人類の存続に意味を見出せるでしょうか。

 理想はある、今の状態はよくないと認識している、しかしその根本的改善は不可能で理想には届かない。そうなれば「被害の最小化」は選択肢になってくるでしょう。結局これは反出生主義と呼ばれている思想と近いのですが。

 この「人類の存続を諦めた勢力」が力を増せば、もはや政治の対立軸は左右だけではなくなるでしょう。今後そうなる日は来るのでしょうか。

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