あおり運転

 一昨日(2/5)のテレビでやっていた「あおり運転」被害者の体験談の話です。

 先月袋井市で20代の男性会社員の運転する乗用車が国道1号に合流した後、その後ろを走ることになった大型トラックがクラクションを鳴らし続けたり挑発的な仕草をしたりしながら接近、あおり運転を行いました。さらにはそのトラックは被害者の車の進路を塞ぐように停車し、運転手が降りてきて暴言を吐いたり被害者の車を殴る蹴るなどしています。被害者となった男性は15分間の恐怖をテレビで語りました。

 これは実際に私もテレビで見たのですが、非常に怖いなと言う印象でした。相手が大型トラックなので威圧感がありますし、それが長時間続いた末にしまいには運転手が降りてきて「殺すぞ」などと言いながら車を叩いてくるわけで、被害者にとっては恐怖でしかなかったでしょう。今回あおり運転をされた車には男性会社員のほか、妻とまだ3か月の赤ちゃんが乗っていたそうで、一歩間違えば大事故になるところでした(被害者男性はドアをロックしひたすら耐えたそうです、あおり運転の状況もドラレコなどで記録されており冷静に最善の対応をされたと思います)。

 あおり運転と言えば一昨年6月に神奈川県大井町の東名自動車道で起きた、あおり運転を発端として2人が死亡した事故の裁判が去年行われており、横浜地裁は被告に懲役18年を言い渡しました。世間であおり運転に対しての関心・批判が高まっている中で今回の事件も起こりました。

 おそらく今回加害者となったトラック運転手もこの東名高速の事件やその判決について耳にする機会はあったものと思われます。彼のこれまでの運転がどうであったかはわかりませんが、この時期に至ってもあおり運転をしてしまうというのが彼の問題の大きさを窺わせます。


 彼が何を気に入らなくてあおり運転をしたのかはわかりませんが、その時彼の自制心が効かなかったことは確かです。もともと気が短い性格だったのか、それとも疲労やストレスが関係していたのか、被害者の車の運転だけでなく加害者の内的な問題も大きくかかわっているでしょう。

 加害者を擁護するわけではないですが、気が短い性格になりたくてなった人もいないと思います。そういう欠点は遺伝や生育環境など自分ではどうにもならない要因の産物でしょう。その結果今回のような行為を引き起こしてしまったとしたら、周りから責任を取らされる加害者自身はその「責任」に納得できないのではとも考えてしまいます。

 またこの「気が短い」「自制心がない」というのは学習面でもマイナスに働きます。わからないことを根気強く考えたり、娯楽を我慢して勉強したりすることが苦手になるわけです。それは進学、やがては職業選択や収入にも影響してくるでしょう。職業選択の幅が狭まれば、疲労やストレスが多く不人気な仕事をせざるを得ないかもしれず、そうなればますます性格上の欠点が顕在化しやすくなるでしょう(今回の加害者の学歴や職務内容、収入や性格などはわかりませんが)。

 今回被害に遭った男性は住宅展示場からの帰りだったそうです。子供も産まれ家の購入を検討するような「幸せな家族」が今回の被害者であったために一層、些細なこと(加害者にとっては許せなかったのでしょうが)で暴走してこのような行為をするに至った加害者との対比が際立って感じられました。

 今回あおり運転をしたトラック運転手の男性は解雇され、警察は器物損壊容疑で捜査を始めたようです。トラック運転手の仕事は市民生活を支える重要な仕事ですが最近人手不足のようで、彼のような問題を抱える人を完全に排除するのも難しいのではと思ってしまいます。全部の車が自動運転にならない限りあおり運転はなくならないのでしょう。

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