見出し画像

苦い

 筆者はコーヒーが苦手である。苦い水としか思えない。コーヒー牛乳は飲めるしコーヒークリームを挟んだパンは小さいころのお気に入りだったので、あの風味が嫌いなわけではないのだろうが、「コーヒー」自体を美味しく飲めるには至っていない。苦いの苦手。

 いつか東海道か山陽かの新幹線に乗った時、たまたま席が隣になったご婦人が車内販売でコーヒーを2つ頼んだことがあって、1人で2つも飲むのかと思っていたら、1つがこちらに回ってきた。感謝を言って受け取りはしたが、ミルクも何もついていなかったので、ブラックをそのまま飲むはめになった。ご婦人は善意だったのだろうが、ちょっと確認してもらえばよかったのにと思ってしまった。まあ、不幸な事故である。飲むのに難儀していたからか、彼女と何か話をしたかは思い出せない。

 コーヒーに限らず、大人の好むもの、例えば緑茶とかわさびとかグレープフルーツとか、そういうのの良さはまだわからずにいる。舌が子供。多少我慢すれば食べられ/飲めなくもないので拒否しづらい場面ではいただくが、自分で選択できるときは手を出さない。コーヒーがいいですかお茶にしますかと言われても水がいいですとは言えないでしょう。

 多分私の味覚が苦さに敏感なのだろうとは思うが、普通の人がどういうふうに感じているかは気になるところである。子供の時はいつかは良さがわかるのだろうと思っていたが、いつまでも「大人」にはなれなかった。そういえばアルコールも味が嫌いである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?