見出し画像

お茶会でのお水屋のこと その2


今日はお茶会でのお水屋のことをもう少しお話ししましょう。


お水屋はお茶会の時には舞台袖のようなものでもありますので、次にお点前する人はちょっと緊張気味な雰囲気で水屋の棚の前でひとりリハーサル。時折ため息も聞こえたりします。一方で既にお点前が終わった人は晴れ晴れとした表情、という具合で、色々な人がいます。


あるとき、泉涌寺のお茶会だったと思うのですが、あちこちのお稽古場からお手伝いの方がお見えになっていました。


先にお昼を頂くことになった友人二人とワタシの計3名で休憩室に行くと、お寿司の桶が置いてありました。握り寿司が綺麗に並んでいて、思わず声があがります。朝も早かったし、お腹空いたよね〜なんていいながら、その3名、なんと寿司桶をサラッとほとんど食べてしまったのです。さすがに全部は食べられなかったね、残すのはよくないんだろうけど、しょうがないよね、なんて言いながら、水屋へと戻り、先に昼休憩を頂いた御礼を言い午後に向けて、とそこへ先生が。


腹減らしの女子大生3名がお腹いっぱいになっているかどうか気にかけてくださった先生にかくかくしかじか少しだけ残した旨をお伝えすると、先生は最初「ふんふん、そうか、そら良かったわ」と仰って。その数秒後にふと立ち止まられ、「ちょっと待って。あんたら、今なんて? 」と言って先生は急ぎ足で休憩室に行かれました。


そして大急ぎで戻って来られて第一声「ちょっと、あんたら、あのお寿司、ほとんど全部食べてあるやんか。あれ、何人分やったと思ってんの?」と。「え? 3人分……もしかして、違った……?」と顔を見合わせたワタシたち。


先生はお財布を握りしめると「信じられへんわ、あんたら。ちょっと今から配達してもらえへんか電話で頼んでくるわ!」と大急ぎで電話をしに行かれました。


「え……」目を見合わせたワタシたち。言葉もありません。『いや、だって。聞いてなかったし……』とはさすがに言えませんから。先に昼休憩を頂いて、お腹が空いているのをいいことにパクパク食べてしまい、またしても先生に大汗をかかせてしまいました。


無事に配達してくださることになり、なんとかお手伝いの皆さん全員のお昼が届いたのですが「先に思いきり人の分まで食べたんやから、人の分まで働いてもらわんとね」と言われたワタシたちが「はい!」と元気よく返事したのは言うまでもありません。



そして「1人分をちゃんとわかるようにしとかんと、あの人ら、お腹に任せていくつでも食べてしまわはるさかいに、かなわんわ……」と先生のお声が。なるほど、確かに、先生がいつも用意してくださっていた笹で巻いたお寿司だとお水屋で重宝する条件は全部満たしている……さすが先生! こうして思い出してみると、隅々まで色々なことを考えておられた先生には本当にお世話になりっぱなしで、そのすべてが学びの瞬間なのだと改めて心から感謝しきりです。




今日もお読みくださりありがとうございました。スキやフォローが励みになります❗️




☆見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーからお借りしました。
nanas an_7_3さん、ありがとうございます!

最後まで読んでいただきありがとうございます。 よかったらまた遊びに来てくださいね。 スキやフォローしていただけたらとても嬉しいです。 頂いたサポートで良い記事を書いていきたいと思っています。 どうぞよろしくお願いします。