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本当のサンタさんは誰?


7歳の息子たい君が、クリスマスプレゼントにクレーンゲームが欲しいと言うので、サンタさんになりすまして、「すみっコぐらしのクレーンゲーム(4才以上向け)」をプレゼントすることにした。

これまでプレゼントというと、何かしら「このプレゼントを通して、何かを学んで欲しい」という意図を持って選んでいたような気がする。

しかし、今回はクレーンゲーム。(UFOキャッチャー)

私はこれまでの人生で、クレーンゲームに何の魅力も感じてこなかった。

ゲームセンターのクレーンゲームは、人生の中で多分5回もしたことがない。ずっとくだらないと思ってきた。

小さい頃クレーンゲームに挑戦して、まったく取れなかったときに、お母さんからもらった大事な100円玉が一瞬にしてマシーンの中に消えていったことに気づき、身体の中から体温が消えていくような気持ちになったことを覚えている。

それなら私は、空気が出ている卓球台のような台の上で、丸い板をスライドさせて、相手側の真ん中にあるゴールを狙うという、対戦型のゲームを家族とする方が、よっぽど楽しかった。

 
「クレーンゲームから一体何が学べるというのか。」

そんな思いを抱えながらも、「息子のたい君が欲しいと言うのだからいいじゃないか」と、自分に言い聞かせた。
 
 
翌朝、サンタさんからクレーンゲームをもらったたい君は嬉しそうな顔をして、何度も何度もクレーンゲームに挑戦していた。

私や夫も一緒に挑戦すると、これまた嬉しそうな顔をするので、しばらくは私も楽しかった。

けれど、音量があまりにうるさいので、30分ほど耐えたあと「2階でやってきてくれないかな?」とお願いすることにした。

しばらくすると、変えられないはずの音量が、小さくなっていた。

よく見たら、音の出るところにマスキングテープを重ねて、引き続きリビングで遊んでいる。

「知恵をつかったな」
 
 
その後またしばらく遊んでいたたい君は、「クレーンゲームは、お金を投入するからこそ、面白い」ということに気づいたようだ。

おもちゃのコインでは、何の興奮もなければ、何の喪失感もないのだ。

そこで、たいくんは自らの貯金箱を破壊して、おもちゃのコインと同じサイズのお金を探し始めた。

そして、一円玉がぴったりサイズだと気づいたたいくんは、そこから自分の一円玉を使って遊ぶことにした。

そして、私たちがゲームをするときも、「お金をいれるように」と言ってきた。

「お、また知恵を使ったな」


しばらくするとたいくんは、「クレーンゲームで取ったおもちゃを、またクレーンゲームに戻して遊ぶ」というのは、どうも面白みにかけるということに気づいた。

欲しいものを貰えるからこそ、「絶対取ってやる!」という気持ちが生まれるということに。

そこでたいくんは、午後からの家族クリスマスパーティで、「どうやったらおばあちゃんやおばさんたちが、このクレーンゲームにお金を注ぎ込むだろうか?」ということについて、考えはじめた。

私たちも一緒に案を出し、紙に書いて何度も計算を繰り返し、とうとうたいくんなりの魅力的なルールを完成させた。

・1回10円

・3回50円。ただし、こちらのチケットは、おもちゃが取れたら50円キャッシュバック。

・取れたすみっこの種類によって「洗い物チケット」「お風呂洗いチケット」「マッサージ」などと交換できる

・2つ同時に取れたら、もれなくたいくんからのギュウをプレゼント。3つ同時に取れたら、ギュウチュウ(hug&kiss)をプレゼント。

こうして、妹家族の家でのクレーンゲームは大盛り上がり。

単純明快なクレーンゲームは、2歳の甥っこも、78歳のおじいちゃんも楽しめた。

甥っ子にいたっては、「オカネ、チョウダイ」と、親にお金をせびることをあっという間に覚えた。
 
 
夜、家に帰ると、嬉しそうに稼いだお金を数え、計算をするたいくん。

背中を見ていると、学校の計算プリントより、100倍集中していることがわかる。

私はすっかり気持ちが変わっていた。

「クレーンゲームから、こんなにも学びや楽しみがひろがるなんて。クレーンゲームを作った人、すごいっ!」と。

 
これからは親の変な思い込みに従って、子供に与えるものをあーだこーだと決めるよりも、子供が「やってみたい!」とか「これ欲しい!」という気持ちを、大切にしようとと思った今年のクリスマス。

いつも私の知らない世界を教えてくれる子供達。

本当のサンタさんは親ではなく、子供たちのほう。

子供たちよ、いつの間にかサンタさんを信じられなくなってしまった大人たちを、サンタさんにしてくれてありがとう。

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