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「安全の本質は愛」講演を終えて~再発の恐れからの解放

先日、ある運輸関連企業の安全大会での事前収録の講演を終えました。

昨年、JR西日本での二度目の講演を終えてから、この一年で随分講演の経験を積ませていただきました。


毎回、講演後に記録を残しておこうと思うのですが、その余力がなくほとんど何も書けずに一年が過ぎました。


ようやく形になってきたので、これからは少しずつ言葉として残していこうと思います。



今回の講演のテーマは

「安全の本質とは~私の命を生きること」


今回は、企業のご担当者の方々が、リアルタイムで画面の前で話を聴いてくださったので、緊張感はありつつも、心にゆとりを持って話をさせていただくことができ、皆さまに感謝です。


とはいえ、まだ講演自体に慣れていない私は、当日までの準備に相当のエネルギーを使っているようで、当日それらを全部出し切ると、その後自律神経がバランスを取り戻すまでに、しばし休息の時間を必要とします。

ところが今回は講演が終わって、ほっとしたのもつかの間、コロナの影響で子供たちの園が学級閉鎖になったり、登園を自粛せざるを得なくなったりして、のんびりしていられなくなりました。


ひとまず確定申告手続きの続きだけは期日までに終わらせねばと、子供たちが大騒ぎしたり、甘えて来たりする中なんとかそこだけは死守しました。

ずっとお天気だったので、家の外と中を行き来できたのが幸いでした


ようやく子供たちの園も再開し、私も毎晩ぐっすり眠り、いつもの日々を取り戻しました。

「生死に向き合ってきた自らの経験を伝えていくことで、誰かのお役にたてるのではないか」

そんな何の根拠もない想いから、動き始めた講演活動でしたが

この一年、そのことがいかに大変な活動だったかということを

思い知らされました。



死の淵から何度も這い上がってきた経験と、人間の身体の内側について探究し続けてきたことを、言葉にして繋いでいくことの難しさ。



講演の準備が始まってから講演当日まで続く、無意識の緊張感と、家庭への影響。



大勢の人前で話すことの緊張感や責任感と、講演後にやってくる大きな神経的な疲れなどなど。



このような過度に神経を使う活動をしていると


私たちが、普段からいかに自律神経によってコントロールされながら生活しているかということがよくわかります。


いつも自分の身を危険から守り、安全を保とうと働き続けてくれているくれている自律神経の働きが

今の自分にどう影響しているかに気づいていくこと

また、それらのバランスを整えていくことの大切さを改めて感じました。


昨年秋ごろ、テーマの違う講演がいくつか重なり

自分の中で神経的な疲れがピークに達したとき



「もしかして、今の状態って自律神経の乱れで終わる問題ではなくて、双極性障害が再発しているのかも」

と思うほど、自分でもコントロールがきかなくなっていて

約6年ぶりに心療内科に行くことにしました。



家の近くにある心療内科をみつけ、初めて会う医師に尋ねられるがままに

事故のことや現状など一通りのことを話しました。



するとその60代くらいの医師はこのようなことをおっしゃってくれました。



「浅野さん、僕の経験値からの話だけど

浅野さんは双極性障害ではないだろうね。

少なくとも、双極性障害の患者さんは、今の浅野

さんのような話し方はしないね。


以前に出た症状というのも、あれだけの事故に遭ったんだから

突発的に双極性障害の症状と似た症状がでたということも十分考えられるよね。


これまでも、ずっとされてきたと思うけど、今の

浅野さんに必要なのは、自分自身で自分の内側と

向き合っていくことだと思うよ。


そこで、過去の癒しが起きたり、目の前の問題が解決していくかもしれないし、また他の問題が出てくるかもしれない。



それを手助けできるのは、病院や薬ではなく

セラピーやカウンセリングだろうね。

今日は、もうお金はいいから、帰ってもらって大丈夫だよ。」と。


私は医師の言葉に心底癒され、ようやく自分が相当無理をしていたことを理解し

またこれまで自分がやってきたことは間違いではなかったんだと確信し

お礼を言って病院をあとにしました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今から約9年前。重度のうつ病、PTSDと診断された後

地獄のような日々を経て、ようやく回復したと思っていた矢先

眠らなくても食べなくても平気、過活動、過覚醒などの

症状が現れはじめ、家族や友達にもたくさん迷惑をかけまくり

双極性障害(いわゆるそう鬱病)という診断を受けました。


当時、薬を呑まなければ一生再発を繰り返すと言われた

この病気を診断されたことを、全く受け入れることができませんでした。



その後数年経ち、ある程度回復した後もずっと私の中にあった苦しみは

再発に対する恐れでした。

もう二度とあんな思いをしたくなかったのです。


そして、そんな大きな恐れを胸に抱いたまま
おそるおそる

一歩、また一歩と小さく前に進みながら
人生を歩んでいました。


4年程たった時には、私はすっかり社会との繋がりを取り戻しており、結婚・出産を経験していました。



ところが、相変わらず胸の中には、再発への恐れを抱え続け

恐る恐る毎日を過ごしていました。



今から約5年前。目の前で満面の笑みを見せてくれる息子の

無邪気な表情を眺めていたとき



再発するかしないかもわからないのに、ずっと恐れを抱き続け

自分を制限し続けていることが馬鹿らしくなり



ようやく「病気とか再発とかどっちでもいい」の境地に至りました。


そして、その日から私は自分のしたいように生きるようになりました。


本物の医師に巡り会ったその日、心療内科からの帰り道を風をきって歩きながら、



5年前に手放した「再発への恐れの残りかす」が

風と共に、す~っと消えていくのを感じました。




そこからは、時々ブレーキをかけながら

休み休み、一つ一つの講演に丁寧に向き合うようになりました。


今回の講演の終え、また一つ自分の中で、ほんの少し

ほんの少しですが何かを掴んだようにも感じました。



今思えば、精神疾患を患ってから今日までの経験を通して学んだことは



病気を患うことや、病気を診断されることよりも

その病気を自分自身がどう捉え、その病気と

自分がどう関わっていくかの方が

よほど自分の人生に大きな影響を与えるということです。

これは、生きていく上でのさまざまな事にも置き換えらえる話ですよね。



次回もまた、講演活動を通して感じたことについて書いてみようと思います。

よろしければ、しばしお付き合いくださいませ。


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今から14年前に、現京都大学大学院名誉教授の山口栄一先生と共に

JR福知山線事故の本質~企業の社会的責任を科学から捉える~という書籍を出版しました。


現在、その中で主に私が執筆を担当している章約100ページ

をNOTE内にて全文無料公開できるよう、準備を進めています。

(割とてこずっています)

誰の身に起きてもおかしくない事故。事故の経験を通して感じてきた

喜びや哀しみ、怒りや楽しみを当時の感情のままに綴っています。

「安全」について、今一度立ち止まって考えてみたい方にも、是非読んでいただければと

思います。もうしばらくお待ちください。

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