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突然の別れはやっぱりつらい

勝負の世界はやっぱり厳しい。

用具係といえど、プロの世界に身を置いているので、「結果が出なければ、だれかがチームを去らなければいけない」ということは理解していたつもりなんですが、実際チームがそういう状況になるとなかなか気持ちの整理がつきません。

今シーズンFC Carlzeiss Jenaは、スタートこそ順調だったものの、直近の13試合で1勝のみとかなり厳しい戦いが続いていました。そして、一昨日のホームゲームで残留を、争うチームとの試合に逆転負け。昨日、監督とアシスタントコーチがチームを去ることになってしまいました。

それはもう本当に突然知らされました。昨日の練習前にロッカールームにみんなが集められ、監督の口から2人がチームを去らなければならない、ということが伝えられました。その直前まで、「ケンタおはよう!」と明るく声をかけてきていたので、まさかこんなことになっているなんて思いもしておらず、最初はドイツ語の聞き間違いかと思いました。涙を流しているスタッフもいて、「あぁ、やっぱりそういうことなんだな」と確信しました。

ミーティングが終わって、一時間後には、あれだけ物にあふれていた監督室はきれいに片付けられ、2人は去っていきました。

こんなにあっけないものなのか。

そう思ってしまいました。

2人は、ぼくにとっては特別な存在です。だってドイツに来て初めて一緒に仕事をした仲間だから。

日本で仕事をしていた時は、どちらかというと「監督やコーチの“もとで”仕事をしている」という感じでした。ですが、ドイツのこのチームでは、監督やコーチと「zusammen arbeiten(一緒に仕事をしている)」という感覚でした。だから、ぼくにとっては彼らは上司、というよりも、仲間、という表現の方がしっくりきます。

監督は仕事の時にはすごく厳格で、正直チームに入った当初は、向こうから話しかけてくることもあまりなく、「怖そうな人だなぁ。話しかけにくいなぁ。」と勝手に思っていました。でも、一緒に過ごしているうちに、プライベートではお茶目に話しかけてきてくれたり、ぼくのために、浅野選手のサイン入りユニフォームを、もらってきてくれたり、日本の文化にも興味を持ってくれたり、すごく良い関係が築けました。なによりも嬉しかったのが、練習中に監督から「ケンタ、次の練習のためにここにマーカー置いておいてくれるか」と初めて練習中に指示をくれたことです。本当になんともないことなんですが、監督からの「信頼」を初めて感じて心の中で跳び上がりそうでした。

アシスタントコーチは、いつもぼくのことを気づかってくれました。年も近いので、ぼくにとって彼は兄貴分みたいな存在でした。「大学院に行ってみたら?大変だろうけど、おまえならできるよ!」って最初に言ってくれたのも彼でした。今では毎週参加している、「Trainer Fußball (トップ、アカデミーのコーチみんなでやるサッカー)」に誘ってくれたのも彼でした。彼はぼくに本当に沢山の「きっかけ」を与えてくれました。彼がいなかったら、今こんなにドイツで充実した毎日を、過ごせていなかったかもしれません。

2人はぼくにとってすごく大切な存在です。

こんなことになってしまって、本当にほんとうに辛いです。でもシーズンはまだまだ続いていきます。うつむいたままでいるわけにはいきません。

自分に今できることを100%でやる。

プロの世界、勝負の世界は、ほんとうに厳しいんだと、本当の意味で思い知りました。だからこそ、そこから得る喜びもとびきりなものなんだなぁと。

その喜びをチームのみんなと得られるように、自分に今できることを100%でやっていきたいとおもいます。

自分の思いをただただ綴るだけのnoteになってしまって申し訳ありません。読んでくださってありがとうございました。

Tschüss 

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