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狂言師山本東次郎氏のことば

横浜能楽堂にて狂言を観た。
狂言師の山本東次郎氏は4歳の時から狂言をはじめて、今年の5月5日で芸歴80年を迎えたとのこと。

芝居をするときは声にも張りがあり、動きもしっかりとしている。さすがだなと思っていたら、最後の挨拶のときに、「元気に見えるかもしれないが、体がぼろぼろです」という話をされていた。喋りながら、言葉が出てこなかったり、耳も遠くなっている様子。芝居のときとのギャップに驚いた。

狂言は観客にたいして礼を尽くすのだという。芝居の途中で大きな音を立てて観客の注意を引くような真似は絶対にしてはいけないと。観客は体の中心に心を置き、イマジネーションを働かせて芝居を見ている。その時に、演者が観客を驚かせるようなことをしたら、そのイマジネーションが崩れてしまう。だから、絶対にやってはいけない。それが礼を尽くすということだと。

最後に質問コーナーがあって、幸運にも質問することができた。
「そもそも狂言とはなんのために生まれたのか」と尋ねたところ、「狂言とはなんのためにはじまったのか、という問いは、芸能とはなんのためにはじまったのか、という問いにつながる。それはあとづけでどうにもでも言えることでもある。ただ、自分たちは、狂言を演じることで、人々が平和になってほしいという願いがあって、演じている」という答え。
個人的には、狂言は神仏へのお供えなのではないかと考えていたので、この答えは意外だったが、納得のいく答えでもあった。

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