クワイエットルームにようこそ

松尾スズキの原作小説を本人が監督して映像化。
ライター役の内田有紀が睡眠薬のオーヴァードーズで精神病院に入院して、そこでさまざまな人たちと交流するという物語。
ドタバタコメディみたいなはじまりで、途中、飽きてきたのは事実ですが、後半見事に盛りあげました。それまで、ただの変な人だった患者たちが、内田有紀と真摯に向き合う感じが出てきたのです。なんでしょうね、こういう感覚。
人は社会に出るとなかなか本音でつきあう人というのはいなくなり、孤独を感じるようになる、というのが私の実感としてあります。だからこそ、ビジネスを介さない、いわゆる友人は大切です。
本作の後半部分で、内田有紀と蒼井優が心を通わせるようになる(と、私には見えた)あたりからが本領発揮だと感じました。居心地がいいように思えても、戻ってきてはいけない、断ち切らなければいけない関係もある。それは内田有紀の睡眠薬であったり、前夫のトラウマ、現夫との腐れ縁、そして、精神病棟の患者たちといった、なんとなく馴染んでいるものや人なのです。
映画は、物語を通じてなにかを投げかけてくる。受け止めるのは観客それぞれです。そんなことは今さら言うことでもないですが、本作は観客によって受け止め方はそれぞれなのではないかと、思った次第であります。

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