岸辺の旅

3年前に自殺した夫(浅野忠信)と、生きている妻(深津絵里)が、「おわかれ」をするまでの物語です。

死を受け入れられないのは、残された人間だけでなく、死んだ本人もそうなのではないか。だから、夫は死んだ後で、いろいろな土地を旅して、いろいろな人間と交流をして、自分を探した。妻は、戻ってきた夫との旅を通じて、さまざまな体験をして、自分の気持ちに整理をつける。
そういう物語だと感じました。

死んだ人間が戻ってきて、生前と同じように会話をして、一緒に暮らす。メルヘンチックな設定ですが、臭くならない。説得力があります。
個人的には、途中で出てくる蒼井優がよかったです。生前の夫と関係のあった女を演じるのですが、なんともいえない怖さがありました。

人間がきちんと描かれていて、俳優たちもそれぞれの役に(死者の役だとしても)生命を与える演技をしています。


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