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Honesty

同居人でパートナーのマカロンさん。7歳年上のキウィ(ニュージーランド人)。知り合ってちょうど10年になります。
彼に私から、初めてプレゼントしたのが「ニール・ダイアモンドのコンサートチケット2枚」でした。好きだと聞いていたので。
喜んで受け取った後に「あれ?君、ニール・ダイアモンド好きじゃ無いって言ってなかった?」とおっしゃったんですね。ええ、その通り。私は1−2曲しか知らないけれども、それが何か?と思いました。

当然私も一緒に行くと思われたんです。で、慌てて私が「ううん、違う違う。ニール・ダイアモンドを大好きな誰かと一緒に行って?私は留守番しとくから。」と言いました。当時、先住犬のクロエちゃんのお世話もありましたし。

特にそれが言い争いに発展することはなかったのですが、マカロンさんはそのプレゼントに大変違和感を覚えたようです。
逆にその持たれた違和感に、負けずに違和感を覚えた私。
えー?好きなミュージシャンのライブはファンにとって貴重なイベントだから、いくらカップルでもファンじゃない相手と一緒にいきたく無い。というのが私の考えだったので、身を引いたわけです。
結局、コンサート夜のマカロンさんのデートの相手は、友人のお父さん。ニール・ダイアモンドの大ファンで、大変喜ばれたそうなのでハッピーエンド。素晴らしいプレゼントを贈った、と悦に入ってそのことを忘れていました。

それが知り合って最初の頃の出来事で、その後なんとなく私の中に「音楽の趣味は全く合わないので、今後好きなミュージシャンのライブは別々に行こう」でありました。エド・シーランやアデルといった私のよく聴く音楽を、マカロンさんはけちょんけちょんにけなすからです。
まあ、お互い人生の後半で出会ってますから、相手の好みをよく知らないのも、違うということも全く問題なく受け入れられます。音楽の趣味、押し付けられるほど嫌なことってありませんものね?

さて、ここからが本題なのですが(長い)、先週の金曜日のTVのニュースを観ていたマカロンさん。ぼそっと「へ〜、ビリージョエルがニュージーランドでコンサートやってたんだね。(過去形)」というショッキングなことをつぶやいて、私はその場に泣き崩れてしまいました。
そうです。ビリー・ジョエルといえば、私が死ぬまでに一度でいいからライブを観に行きたいと思ってるミュージシャンNo.1なのです。
「なんで知らなかったんだよ!アホじゃないの、あたし!」と包丁持って突然泣き叫ぶゆうさん(晩御飯作ってたのです)。私がいきなり感情的になったので、びっくりするマカロンさん。
でも冷静になってニュースを聞いてみると、「12月にニュージーランドのスタジアムで初ライブ」という、プロモーションのニュースだったのです。マカロンさんが聴き間違えたの。

チケット発売は7月18日の10時から。
ここ数年でそりゃもう群を抜いて最高にハッピーなニュースに興奮する私。
「行ってもいい?ねえ、お願い!絶対に行かせて!ていうか、行く!」
と、ゆうさんは「行きます宣言」をしたつもりだったのですが、マカロンさんは「当然僕も行くよ?」と宣言返しをされてしまい、一気に下がるゆうさんの熱量。
「え?ビリー・ジョエル好きだったっけ…?」の質問に、「僕、彼の昔の奥さんに夢中だったんだよね。」という返答。そんなことは聞いてない。

話は唐突に変わりますが、以前元ダンナのコアラ師匠と2人でカナダのバンクーバーを訪れた時のこと。私のワーホリ時代を過ごした場所でもありましたので、15年ぶりに訪れるバンクーバーは、まさにセンチメンタル・ジャーニー。あの頃、いつも同じメンバーでたむろしていた高層アパートの部屋。その建物を下から見上げて、胸がしめつけられて涙がとまらなかった私。そしてその横で、ただの建物を見に連れて来られて完全にしらけてるコアラ師匠。彼の感情が一切動いていないことに憤りを感じた若かった私。
今思えば、彼にしてみれば「貴重な旅行の時間を割いて、なんでただのアパートを見に来にゃならんのか」だとよくわかる。ほんとその通り。
大いに反省し、今後個人のセンチメンタルは個人で処理をしていこうと決心したのです。
そして今回のビリー・ジョエルも、個人のセンチメンタルをめちゃくちゃ抱えて挑むイベントなのです。

ほんの数分前に泣き崩れた私の姿を見て、私のビリーへの熱量を測りとってくれたと思ったんですが。もし私がマカロンさんなら「ああ、この人はビリー・ジョエルがこんなに好きなんだ。一人で楽しんでおいで(冒頭のニール・ダイアモンドのように)。」と思うに違いないのですが、その選択肢はマカロンさんに全くなさそうな様子。

ま、まあ、ひょっとしたらマカロンさんもビリー・ジョエルの音楽と共に歩んできた人生の一部があるのかもしれないし、彼には彼の思い入れがあるのかもしれないので、勝手に決めつけるのは確かに悪い。悪いけども!
でも「好き」では絶対私の方が勝ってる。わかってる!勝負じゃないけども!

タイトルの通り正直に、Honestyな気持ちを綴るならば
「このイベントはカップルじゃなく、私”個人”が行きたかった…」。
落胆を感じずにはおれない自分に、「こういうところが自分勝手…」とわかっているので、今回の私のHonestyはnote(ここ)に書いて供養といたします。

Honesty is such a lonely word〜♪
Everyone is so untrue
Honesty is hardly ever heard〜♪
And mostly what I need from you〜♪(皮肉ながらこれが真実ですなあ)

Text by マーティンゆう



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