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雨の日の羊たちと退屈

ふと目線を外に移すと、羊たちの姿。というところに住んでいるせいか、「羊たちって何考えてるのかなあ」はよく思考をよぎります。
特に立ちすくんでいる時。

「え?羊って常に草を食べてるんじゃないの?」と思われるかもしれません。もちろんそうなんですが、そんな時の羊たちは「忙しそう」なのであまり気にはなりません。動物にとって「食べる」とは生き甲斐であり、充実してそうに見えるので。

地面に座っている時の羊も充実してそうです。何故ならやっぱり「忙しい」から。
さっき食んだ草を反芻して噛み潰しています。エンドレスに動く顎。なんにせよ、忙しそうなのは良いことだ。と、何故か安心するわたし。

今日は雨が降っています。
羊たちは何をするでもなく、とにかく立ち尽くしています。そこだけ時が止まっているよう。

そんな時の羊たちから、わたしは目が離せなくなる。
羊たちの(それほど複雑ではなさそうな)思考回路がフル回転している音が聞こえてくるような気がして。

あくまでもわたしの勝手な想像に過ぎませんが、「雨」という気象現象を必死で吸収しようとしているように見えます。
「濡れる自分」「不快な感情」「以前もあったような・・・」という、雨に関するカードを集めて、今度は顎ではなく頭の中で反芻していそう。
理解とはまた違う。ああ、こういうことって起きるんだなという事実の受け入れ。雨の日が静かに羊たちに吸収されて行く時間。

「実は何も考えてない」が正解かもしれませんけど(笑)。ただぼんやりと、何をしていいのかわからない様子で立ちすくむ羊たちの「退屈」を、わたしが受け入れることを拒否しています。

忙しすぎるのも考えものだけど、大好きなみんなの、そして大切な人の「退屈」を見るのがわたしはイヤなんだなあと気づく雨の日。


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